「言志四録」(佐藤一斎):学問を始める者の心得

「言志四録」(三) 言志晩録   佐藤一斎


もうすぐ、8月も終わる。私には、特に決まった夏休みがあったわけではないけれど、なんとなく、一夏が終わっていくなぁ、、という気持ちになっている。

この2年くらい、毎日が夏休みのような、毎日が仕事のような、、、常に自転車操業しているように学ぶことに追われている日々が続いている。好きで向き合った資格試験、英語の勉強、もろもろ。。
ま、毎日学ぶ時間が取れるというのは幸せなことである。とはいえ、とくに成長しているという実感もなく、、、知識が増えたり、スキルが上がったりしても、それは成長とはちょっと違う。。。

 

初心にかえって、学ぶということを考えてみた。

 

学問を始める者の心得

について、佐藤一斎さんの「言志四録」から。


「言志四録」(三) 言志晩録   佐藤一斎

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本書316ページ:付録から
入学説 佐藤一斎

学問を始める者の心得

①吾人の学を為すには、当に先ず自ら其の入学の初心如何と問うべきなり。其の心必ず学んで君子と為らんと欲するか。不(しか)らざるか。此に於て趣向一たび錯(あやま)らば、日に此の学に従事すと雖(いえど)も、而(しか)も終身得ること無し。徒(いたずら)に得ること無きのみならずして、適(たまたま)以て傲(おごり)を長じ非を飾るの資と為すに足る。

 

訳文
① 我々が学問をするにあたっては、まずもって自分の心に入学の初心(当初の心構え)をはっきりと問いたださなければならない。その心構えが必ず学んで立派な人間になるのだということであるのかどうか。もしここで趣旨方針を一たび謝ったならば、毎日学問しても、一生本物になり得ない。ただ得ることがないばかりでなく、或いは学問のあることを鼻にかけたり、またはその学問が虚飾の道具になってしまうだけである


 そうなのだ。
なぜ、その勉強をしたいのか、、、大人の学びこそ、それが大事なのである。立派な人間になる、、、なんて初心は若者に任せたとして、別に趣味の延長でも構わない。だけど、趣味なら趣味で割り切ればよくて、いつか何かの役に立てば、、、なんて中途半端なのは、やはり、ものにするのに時間がかかる。

 

さて、まだ一斎さんの言葉には続きがある。

 

② 故に入学の初心は、乃(すなわ)ち途けい(途けい:大道と小径。正道と邪路)の由りて分かるる所なり。蓋(けだ)し其の心果して君子と為らんと欲するに在りて、而も志願緊切にして、絶えて他念無くば、則ち学を為す本立つ。斯(ここ)に以て学に入るべし。

 

訳文
故に、入学当初の心構えは大切で、まさに正道と邪道との分れ道に立つと同様である。思うにその心構えがどうしても立派な人間になろうとすることにあり、しかも志をしっかりと立て、絶対に多事を思うことが無ければ、これで学問をする基本態度が確立したわけで、ここで初めて学問の道に入ってよろしいという事になる。


そうか。。。
色々と、あれもやりたい、これもやりたい、と浮気をしているようではダメなのか。。。

でもね、、、大人の学びだから、いいでしょ。。。
と、つまり、私がやっているのは、学びではないということか。。。
そう割り切ってしまえば、そうだ。


そして、③でさらに続く言葉は、


志があったとしても、迷うこともあるだろう。そんな時は、周りの人に相談しなさい。そして、敬してこれをききなさい。そうすることこそが、学問である。。。
と。

そうだ。。。

 

やっぱり、師匠がいる学びは、師匠の言葉を信じよう。

守破離だ。

何事も、やはり、基本が大事だ。

継続は力なり

 

通訳者にとっての英語の勉強は、「トレーニング」と言われる。一流のアスリートが、毎日のトレーニングを欠かさないように、一流の通訳者は毎日のトレーニングが必要なのだと。寝起きは活舌が悪いように、何日も話していないと活舌が悪くなる。ほっておくと実力はどんどん落ちる。通訳は、意味が分かっただけでは意味がなく、それを相手が理解できるようにはっきりと、正確に発話する必要がある。それには、毎日のトレーニングなのだ。


私の場合は、まだまだ基礎トレーニングの段階だけれど、やり続けることで、必ず質は向上する、と師匠はおっしゃる。


やはり、継続は力なり、、を信じて、やり続けよう。

なぜ、学ぼうと思ったのか、、、時々、初心にかえりつつ、やはり、毎日コツコツと続ける。地味だけど、やっぱりそれしかないのだろう。

 

雑読で色々な本を読んでいることも、ふとした時に点と点がつながることがある。やっぱり、それがあるからやめられない。パズルがとけるような感覚。

読書は勉強とは違うけど、やっぱり、自分の血となり肉となっている気がする。

 

自分なりのペースでしかできないけれど、でも、続ける。

2022年も、のこり4か月。まだまだ、できることはあるはずだ。

がんばろう。