『日本の画家』 糸井邦夫 監修

日本の画家 ①近世の画家
糸井邦夫 監修
汐文社
2012年12月 初版第一刷発行

 

図書館の児童書コーナーの本。これも、『写真とイラストでわかる大正時代をのぞいてみよう』と同様に、本棚に表紙が見える形で飾ってあり、目に入ったので読んでみた。

 

意外と、日本の歴史の勉強になる。通訳案内士の試験対策にもなる。ということで、借りてじっくり読んでみた。でて来るのは、有名な日本の画家の作品の数々。これは、①近世の画家で、他に②日本画家、③洋画家 があるとのこと。やっぱり、ビジュアル付きだと記憶に残りやすい。でて来る絵画はどれもこれも見たことあるし、ほんとうに有名なものばかり。最後には、ここに掲載されている絵画の所蔵館のリストも掲載されていて、これを見たならぜひ、本物を!!と思う。でも、国宝や重要文化財になっているものは、所蔵しているからと言って、いつでも見られるわけではない、というのが残念なところ。

今回、掲載されているなかで、とにかく見てみたいのは長谷川等伯の『松林図屏風』東京国立博物館)。自分の記憶の中では、実物を見たことがあるのかないのかも、もうわからなくなっている。でも、大人になって、、、というかここ数年間ずっと見たいと思い続けているのだけれど、2022年の国宝展のチケットは発売同時にほぼ完売で購入できず、、、。いつか、、、見たい。。。

 

最初に、日本の絵画の流れが紹介されている。これがなかなか、わかりやすい。時代と代表的作品がまとめられている。そして、実際の作品には、「絵の中に入ろう」「作者に出会う」「もっとしりたいコラム」と、その絵にまつわる様々な情報が提供される。雪舟が涙で絵を描いたという逸話とか。

 

作品と作者と一緒に覚書。

① 平安時代から鎌倉時代:絵巻物
 鳥獣人物戯画 作者不詳。動物を擬人化して書いた部分は、最初のマンガともいえる。

② 室町時代水墨画 
  『秋冬(しゅうとう)山水図』 雪舟
  『琴高(きんこう)・群仙図』 雪村
  『松林図屏風』 長谷川等伯 → 水墨画の最高傑作。

雪舟と雪村は、名前が似ているけれど弟子のつながりはなし。
狩野永徳は、等伯をライバル視して売れっ子になっていく等伯の仕事を妨害した。でも、そんなことをした1か月後に永徳は亡くなり、永徳の仕事を等伯が引き受けることになる。
 

③ 安土桃山時代:屏風絵、障壁画、狩野派
 『唐獅子図屏風』 狩野永徳 → 想像でかかれた唐獅子

 

④ 江戸時代1650年頃:町人文化、琳派
 『粉塵雷神図屏風』 俵屋宗達
 『燕子花図屏風』 尾形光琳
 『動植綵絵群鶏図』 伊藤若冲 → 裕福な生まれで、身近に観察すべき動植物がたくさんあった。

 

⑤ 江戸時代1800年頃:浮世絵、
 『名所江戸百景 大はしあたけの夕立』 歌川広重
 『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』、『富嶽三十六景 凱風快晴』 葛飾北斎

どれもこれも、何度も目にした作品。はたして、この中で本物を見たことがあるのがどれなのか、、、わからなくなる。

作品の写真も覚書にしておきたいところだけれど、それは、頭の中に写し取っておこう。

 

人間の記憶というのは意外と曖昧なもので、何度もくり返し目にしていると、実際に見たことがあるような気がしてくる。子供の時の写真も、2つや3つの時の景色を覚えているわけがなく、あとから写真に写った景色が自分の記憶であるかのように刷り込まれていく。そうであっても、その記憶の景色や作品に、目の前の「ブツ」として出合ったとき、頭の中でスパークが起きるというか、記憶の引き出しと、目の前の画像とが繋がって、得も言われぬ感覚が生じる。デジャブと似ているかな。博物館とか美術館で作品を実際にみるというのは、そういう感覚があるから楽しい。

もちろん、初めて見る作品にスパークが引き起こされることもある。

こうして、本や図録で見るのもたのしいけど、やっぱり、本物にはかなわない。大きな作品でも、小さな作品でも、目の前で立つと何かの声が聞こえてくる。でも、作品によってそれが違うのは何故なんだろう。。。私は、アートに詳しいわけではないので、うまく解説できないけれど、それが、アートの力なんだろう。

 

言葉で語るだけでなく、人は作品でも語ることができる。
アートは偉大だ。

 

知識として本を読むのも楽しいけど、やっぱり「現実」に「体感」することに勝るインパクトはない。

 

本を捨てずに、街にでよう!

 

読書も、楽しい。