日本の画家 ③洋画家  糸井邦夫 監修

日本の画家 ③洋画家
糸井邦夫 監修
汐文社
2013年3月 初版第一刷発行

 

教科書にでて来る日本の画家シリーズ、③は、黒田清輝岸田劉生高橋由一ほか。

 

表紙に黒田清輝の『湖畔』と髙橋由一の『鮭』がでているのだが、そうか、これらは洋画っていうのか。。。。
①近世の画家、②日本画家に続いて、③は、洋画のお勉強。

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ページをめくると、
”時代を表すメッセージ、洋画!歴史をくぐり抜けた洋画に日本の未来を見よう!”とある。

洋画とは、明治以降に国内に入ってきた日本では新しいジャンルの絵画。新しい画材や技法をつかって、絵にメッセージを込めた画家たちの紹介。

 

①明治時代初期
 ・高橋由一 『鮭』 :日本洋画界の幕開けを告げる一枚。子供のときに衝撃をうけた。泳いでいる鮭ではなく、新巻き鮭じゃないか!!!と。立体的でリアルな表現。狩野派日本画を学んだあとに、洋画に取り組み、油彩を日本人に広めた。
 ・浅井忠 『春畝(しゅんぽ)』:ミレーの『落穂ひろい』みたいな作品。農民画家と呼ばれた。フランスのバルビゾン派(ミレー、コロー、ルソーら)の影響を受けた。
 ・黒田清輝 『湖畔』: 浴衣姿の美しい女性が湖畔にたたずむ作品。モデルは、妻。明るい色と光にみちた印象的な作風。法律の勉強をしにフランスに行ったのに、画家になっちゃった人。

 

②明治時代中期
 ・藤島武二 『黒扇』:ベールを被った女性が、黒い扇子を手にしている。筆さばきにスピード感と力強さ。
 ・青木繁 『海の幸』:日本の代表的洋画。28歳で世を去った未完の才能と呼ばれた画家。『海の幸』は、アーティゾン美術館(石橋美術館)でたまたま見たことがあった。実に不思議なパワーに惹かれる絵。右から4人目の女性だけ、こちらを向いていて、目が合うような気がしてしまう・・・

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③明治時代後期~大正時代
 ・中村彜(つね) 『エロシェンコ氏の像』: 「中村屋サロン」で様々の人と交流。
 ・岸田劉生 『麗子微笑』: 数ある「麗子像」のなかでも有名な一枚。写実を越えた、内面の美を追求。
 ・古賀春江 『海』: 前衛的でモダンな印象。 

 

④昭和時代初期~中期
 ・佐伯祐三 『ガス灯と広告』:パリの裏通りにあるガス灯と壁一面に貼られている広告のポスターを描いた代表作。結核のため30歳でパリで亡くなる。
 ・藤田嗣治 『自画像』:フランスで成功し、フランス人となった日本人画家。フランス国籍名は、レオナール・フジタ。乳白色の地塗りに細い線を引いて描く日本画的技法。軍の意向で戦争画を描かされ、終戦後には戦争責任を問われる。無罪となるが、そのままフランスに行き、69歳でフランス国籍を取得。81歳で亡くなるまで日本に戻らなかった。
 ・松本俊介  『立てる像』: 暗い街並みに、どんと立つ一人の男性。松本自身だと言われている。
 ・北脇昇クォ・ヴァディス』 :画面中央に一人の男が背を向けて立っている。右奥には、雨降る街。左にはデモをする人々の行列。敗戦によって価値観が全て崩れた時のどうしようもない戸惑い。。。


昭和時代中期~平成時代 :戦後で、自由な表現ができるようになった時代。
 ・香月康男 『青の太陽』:戦争体験を伝える一枚。戦争体験のシリーズ
 ・小磯良平 『斉唱』: 黒い征服の少女たちが、楽譜をもって歌っている。群像表現が得意。
 ・梅原龍三郎 『北京秋天』:ルノワールみたいな明るい色彩。京都の悉皆屋(きもののの染めや手入れをする仕事)に生まれた。色彩感覚は、そこから培われたもの。
 ・岡本太郎 『明日の神話』:メキシコの実業家に頼まれて描いたホテルの壁画。ホテルは、資金不足でオープンせず、行方不明だった作品。2003年に現地で発見。原爆をテーマに、原爆を乗り越える人類の未来を描いたもの。 

 

こうして、時代順にみてみると、だんだんと「絵画」というものが変化してきたことがわかる。印象派的になったり、写実的になったり。有名な作品が確認できるから、全国通訳案内士の試験対策にはいいと思う。やっぱり、作家と作品名だけでなく、実際の絵があると記憶に残りやすい。

 

でも、やっぱり、本物を見るにまさることはない。

美術館に行くって、やっぱりお金以上の価値があることだよな、って思う。

暑くても、美術館は涼しいし、夏こそ、美術館にいこう!