漱石山房記念館 

新宿区にある、漱石山房記念館に行ってきた。

 

漱石山房記念館は、漱石生誕150周年にあたる平成29年(2017年)に新宿区に開館。漱石が執筆活動をしたり、弟子たちと過ごしたりするのに生家の近くに建てたお家「漱石山房」を再現して、記念館として運営されているところ。「漱石修善寺の大患と主治医・森成鱗造」テーマ展示のチラシを図書館で目にして、「漱石山房」には行ったことがないし、一度いってみるか、、、と、休日のお散歩に行ってきた。

 

場所は、東京メトロ東西線早稲田駅から歩いて10分くらい。道に描かれたネコの標識が当館まで誘ってくれる。

漱石で、町おこしする気満々、、という感じ。

 

日中は暑いだろうから、早めに、、と午前中に行ってきた。10:00開館だけれど、私が到着したのは、10:30ころ。行ってみると、思っていたものよりずっと綺麗で、おしゃれで、カフェも美味しそう。入るとすぐに、漱石についての紹介資料が、ビデオやグラフィックパネルで並んでいる。入場料300円を支払うと、現物の展示物が見ることができる。入場料を払わずに最初のビデオを見るだけでも楽しい。そして、受付の横にはブックカフェがあって、「禁帯出」だけれど、漱石の本が読み放題。家が近かったら、毎日でも通ってしまいそうだ。。。。地下一階にも図書がある。ここも貸し出しはできないけれど、人も少なく、ゆっくり読めそう。地下と言っても、入り口からすると一階さがるけれど、降りた先は日差しが入る裏庭に面している感じで明るい。日曜だというのに、人も少なく、、、、(営業大丈夫か?!?!)とてもゆったりしている。とはいえ、ひっきりなしに人は訪れていたし、外国人も来ていた。夏目漱石好きには、なかなか穴場スポットかもしれない。

 

テーマ展示を見るために、300円を支払って、中へ。

入るとすぐに、もともとの「漱石山房」の入り口や、漱石が執筆していた書斎が再現されている。座卓や本棚、絨毯などなど、何とも言えない懐かしい空気が。。。もちろん、私は実際にこのような家はみたことがない。でも、毎日午前中には執筆活動をしていたという部屋の再現は、なんだか、懐かしい感じがした。

また、音声ガイドが無料で借りられる。とはいえ、壁に書いてある説明書きが音声になっている感じだったけど。。一応、借りて聞きながら展示室を回った。2階にのぼると、漱石の作品からの名言集。小説だけでなく、手紙の中の一文なども紹介されていた。なかなか、心に響く言葉・・・。人生論色々。すでに、忘れてしまっているが・・・・。

漱石の作品の変遷も紹介されている。どういう環境でつづったのか、どのような内容なのか、などなど。

 

そう、大きい施設ではない。でも、今回のテーマだった「修善寺の大患」については、治療にあたった森成医師とのやり取り、妻・鏡子との手紙など、自筆の物も含めて、なかなか興味深かった。病床で書いたと思われる鏡子宛の手紙は、文字がバラバラと散っている。それに対して、回復後のお礼の手紙や、小説の原稿の文字は、ちょっと丸字っぽくて可愛らしい感じもする。そうか、漱石はこんな文字をかいていたのか、、、と、これまでも写真などでは見たことはあったけれど、原稿用紙にインクで書かれた文字をみると、感慨深い。ついでに、インクが飛んだよごれもあったり。

 

漱石が、修善寺で倒れたという話は聞いたことはあったけれど、一時は心拍停止になるほどの大量吐血だったそうだ。漱石は、しばらくの執筆活動のために修善寺にやってくる。しかし、その行程は悪天候で電車が止まったりで、やっとこさっとこ、目的の宿、「菊屋」にたどり着く。辿りついたときには、疲労困憊。そして、持病の胃潰瘍を悪化させて寝込み、それを心配した鏡子が修善寺までやってくる。すでに、医師や看護師も泊まり込んでいた。その数日後、「誰かきて~~」の鏡子の叫び声に驚いて、医師の森成や朝日新聞社からきていた坂元雪鳥が駆けつけると、漱石が大量吐血。鏡子の浴衣は血まみれ。なんと、500ml以上の吐血だったと。心拍停止となった漱石を前に、森成は「冷静に観察するのだ」と自分に言い聞かせて、「とにかくカンフルを」と、カンフルを何本も漱石に注射した。すると、心臓が再び動き出した。しかし、瀕死の漱石。これはいよいよだめかもしれない、、、と、これからのことをドイツ語で会話しだした森成たち。すると漱石は、瀕死の状態で、「オレはまだ死なない」と言ったとか。

 

でも、本当に九死に一生を得た経験だったようだ。その後も、夏目家と森成家との付き合いはつづいたとのこと。

 

神経衰弱、胃潰瘍、心も体も苦労した漱石だったけど、友人らに恵まれていたのだろう。小説家になったのも、友人・高浜虚子のすすめがあったから。大学教授の道を断って朝日新聞社に入った漱石。そして、『吾輩は猫である』の誕生。

 

じっくり見てたら、あっという間に1時間。混んでないし、思わず、ゆっくりしてしまった。

 

入館料を払った際、カフェの50円割引券をもらったので、カフェでコーヒーを飲むことに。

カフェは、「CAFE SOSEKI」 といって、猫ちゃんマークのカップが可愛い。オリジナルブレンドコーヒー 550円を、500円で。お茶菓子つきもあった。空也の最中とか。

後姿まで!!



ゆったりとしたスペースが広がり、「会話は控えめに」とのポスターもあって、静か。

ガラス張りの見晴らしのいいカフェスペースは、緑が目に入って、とても気持ちの良い所だった。ブックカフェにある本をパラパラと読んでみた。単行本、文庫本、絵本まで。

 

草枕』の絵本や、『JK漱石』という夏目漱石が女子高生に生まれ変わっちゃったマンガとか、なかなか、楽しい。。

 

草枕』は、絵本にすると数ページに要約されているのだけれど、実にわかりやすい。絵の力を思い知らされる。まぁ、小説というのは、文字で読んで自分の創造力でイメージを膨らますのが楽しいのだけれど。。。文庫本で読んだ時の主人公や、宿の出戻り娘、那美のイメージより、二人とも「暗さ」が無いような感じがした。那美を「オフィーリア」に重ねた想像が、絵になっていて、なかなかシュール。。絵本や映画で楽しむというのも、はやり別の愉しみだ。

megureca.hatenablog.com

 

 

吾輩は猫である』を読んだのは、いったい何年前だろうか。。。。また、読みたくなった。でも、まだ読んだことのない作品もたくさん残っている。

 

まだまだ、読みたい本がたくさんあるって、幸せ。

ついでに、修善寺の「湯回廊菊屋」にもいってみたくなった。ちゃっかり、パンフレットが置いてあった。温泉はいって、読書三昧したら、最高だろうな。。。

 

行きたいところがあるっていうのも、幸せ。

 

都内にゆっくりできる、素敵なカフェつき「漱石山房記念館」。

なかなか、お薦め。