『1秒で捨てろ!』 by  成毛眞

1秒で捨てろ!
成毛眞
PHPビジネス新書
2019年10月2日 第1版第1刷発行
2019年10月24日 第1版第2刷発行

 

図書館の棚で見つけて、面白そうだったので借りてみた。「1秒で!」と言うからには、1秒で読めるのだろう!、、、とは言わないものの、成毛さんの本だし、ぐだぐだとは書いていないだろうと思って、手に取った。薄い。PHPビジネス新書なのできっとすぐに読めるだろうと思って借りた。

 

帯には、おびただしい広告の文字、、、。派手な装丁。

” 人生がときめく「逆転の整理術」
・会議・メールは無駄の極み
・車も持ち家のいらない
・年賀状を出すバカ
・つまらないSNSはブロック
「大事なもの」を手放せば、仕事も、人間関係もラクになる!”
と。

 

裏には、
ビジネスパーソンは「こんまり」になれ!”

 

表紙をめくると、
”あなたが大事にしているビジネススキル、友人、衣食住、インプット、、、、それ、全部「ゴミ」”
と、挑戦的な言葉が・・・。

それがゴミかどうかは他人に決められたくないよ!と突っ込みたくなるほどのストレートパンチ。成毛さんのこの強烈な発言が、個性的で、世間でうけるところなのだろう・・。

 

成毛さんの名前はなんとなく記憶にあったのだが、著者紹介をみると、日本Microsoft代表取締役社長をされた方だった。

 

感想。
まぁまぁ、面白い。しかし、「こんまり」とでているから、相当昔の本なのかと思ったら、2019年の本だった。そんなに古くない。
モノの断捨離ではなく、形のないものの断捨離も必要だよ、って話。無駄に時間、お金を食うものは見直せって、こと。たしかに、そうだよね、って共感できることが結構ある。


生命保険は無駄だ、車は無駄だ、持ち家は無駄だ、QRコード決済は時間の無駄だ、部下の結婚式に出るより葬式にでろ、プライドは捨てろ、定番を決めれば時間節約になる、面倒な掃除は家事代行でいい、お墓はいらない、洋服は1年たったら旅行先で捨てろ、テレビは以外とすごい、、、、などなど。

目次を眺めるだけでも、ちょっとは参考になるかも。

 

目次
はじめに
第1章 捨てる力がないと生き残れない  令和型「ビジネスマインド」のススメ
第2章 無駄な仕事を手放せ!  昭和的労働の「リセット法」
第3章 「バカ」から離れろ!  超戦略的「人付き合い術」
第4章 「大切なモノ」を手放、大きなリターンを得よ! 老後も安心「捨てる錬金術
第5章 「こだわり」を捨て、人生後半を謳歌せよ!  無理せず楽ちん「シンプルライフ
第6章 「情報」は、極限まで絞れ!  周囲と差がつく驚異の「アウトプット法」

 

実際には、もっと細かく目次に項目が書かれている。それを読むだけでも、おおよその内容がわかるので、目次に目を通して、気になるところだけ読むのでもよいかもしれない。捨てたいものがあるのなら、ね。

 

成毛さんが不要と言っている無形のものごととは、

・仕事をしている気になれるだけで、成果に直結していない無駄な仕事
・立ち切りたくてもなかなか立ち切れない人間関係のしがらみ
・常識だと思い込んでるが、じつはそうでもない固定観念
・朝から晩までせっせと集めている割に、1ミリも役に立っていない情報
・暇さえあれば投稿しているが、イイネが全くつかないSNS

成毛さん曰く、「不要なものによって、人生の貴重な時間を無駄にしたり、足を引っ張られたりする事は少なくない。また場合によっては人様に迷惑をかけることもある。しかし厄介なことに、それらを大事なものと勝手に思い込んでいる節がある。断言しよう。それはゴミだこれから何十年と人生があると考えたら、1度ぐらいは立ち止まって検証した方が良いのではないか」と。

確かに、たまには立ち止まって検証するっていうのは大事。

そして、極端なことを言ってるなーとおもってもらっていいから、面白楽しくよんでくれ、と。

 

そうそう、それ無駄だよね、と共感することが多い。先に述べた成毛さんの言う「無形の無駄なもの」の多くは、私の場合には脱サラしたときにさよならした。朝から晩までせっせと情報集めをしたり、SNSに投稿したりはしないので、もともと最後の2つは私にはあまり関係ない。

 

中でも、ぷぷぷ、とちょっと面白く共感したことを覚書。

 

・研修やセミナーは天才をダメにする。
 新卒学生の就職先で、最近は研修メニューが充実する会社が人気だと言うがそういったものが人をダメにするのだと。
 これは、半分同意するけど、半分同意しない。なぜなら、どんな研修がその人に必要なのかは人それぞれだし、若いときは会社が提供してくれる無償のセミナーは、どんどん参加してみればいいと思う。自分で参加して、そのセミナーが意味のあるものだったのかなかったのか、自分で判断できるようになるっていうのも、成長段階として貴重な経験だと思う。
40歳も過ぎて、惰性で会社の研修に参加しているなら、ちょっと考えたほうがいい、、。ま、会社も40過ぎの社員に一律投資はしないだろうから、投資として研修をしてもらえるのはせいぜい30代までかな。

 

わらっちゃったのは、
「私の在任中は研修の類はなくなっていたのだが、私が退任した途端に「待ってました」とばかりに研修は復活した。総務部が、自分たちの仕事を作って存在意識をアピールしたかったんだろうが、不毛極まりない
という一文。笑える。めちゃわかる。

悲しいかな、わたしだって企業内研修の企画担当だったこともあるので、わかる。「自分たちの仕事をつくる」っていうのね。その立場にいると、本気で価値があると思っているから企画していたんだけどね。まぁ、全員に響かなくても、研修を受けたうちの30%でもなにかをものにしてたら、ってくらいな気持ちだったけど。会社のお金だからできたともいえる。


・過剰な保険に注意。
人生に2番目に高い買い物と言われる生命保険。生命保険も無駄な出費だという。高度医療にしても、多くは公的保険でカバーされているし、先進医療が必要になる事は滅多にない。その保険代を海外旅行に回した方がよっぽど有効な使い方だって。家族がいたってそうだ、と。うんうん、お金の使い方、考えないとね。
これは、人生のタイミングによっては必ずしも無駄とは思わないけれど、たいてい、若い時に入ってそのまま見直していない、、、ってことはないだろうか。私自身がそうだった。

入社数年目に会社に営業にやってきた保険のおばちゃん(20代の私にとってはすごいおばちゃんだった)に、言われるまま、みんな入ってるしそうなんだろう、、、位な気持ちで入っていた年金保険。のつもりだったのに、一部は掛け捨て保険だったことが、入社20年以上たってから発覚。。。というか、自分で確認していないのが悪いんだけど。保険のおねえさん(自分が年取った分、相手は若いお姉さんになった)に自分が入っている保険を丁寧に説明してもらったら、なんと、掛け捨てだった部分が。即座に、掛け捨てはやめた。だって、入社20年もたっていたら、すでになにかあったら数百万の医療費だって支払える財力ができている。保険のお姉さんの話は、時々きいてみると、ちゃんと必要なことを教えてくれる。保険のお姉さん、途中で私の担当はかわったけれど、その後も親切なお姉さんに助けられている。

 

子供のおもちゃ、あそびには金をつかえ!
子供向けの知育玩具はたくさん面白いものがあるという話題の中で、
”昔は「科学」と「学習」があったのに”、と。
そうそう、私は「科学」が好きだった。おもちゃがついてくるんだよね。組み立てるものとか、科学実験ができるものとか。なつかしい。学研のおばちゃん。

で、成毛さんは、子供に必要なのは「体験を捨てる」こと、だと。え?体験させるじゃなくて、体験を捨てる?? おもちゃだけでなく、習い事やアクティビティーもお金を惜しまず挑戦させてあげるべきで、その中でものになるもの、なんて考えない方がいい。飽きちゃったり、楽しめない経験もあるかもしれないけれど、中には夢中になって、才能が花開くものもあるかもしれない。最初から、何か特定の一つではなく、色々経験させて、あきたら「捨てる」でいいのだ、って。

なるほど、私には子供はいないのだけれど、それ、言えてる!と思った。子供のお稽古事も、惰性になったらやめちゃえばいい。ほんとにやりたければ、またいつかやる。始めたのにもったいない、なんていってちゃいけない。大人のお稽古も同じかな。
違うと思ったら、捨てる!! 

 

そうそう、違和感を感じたら、検討しなおすって大事。

本当は、会社もそうなんだけれど、そう簡単にハイ辞めます、なんてできないのが死語との辛いところ。でも、自分の時間の使い方に疑問を感じるようになったら、必ず見直そう。問題は、ずっとそこにいると感覚がマヒして疑問を感じられなくなること。

だからこそ、時々、こういう本をよんでちょっと刺激を戴く。

 

そう、本というのは刺激のもとであって、必ずしもそれに従うべきというものではない。だから、本も読み捨てる!が大事かも。

 

いいとこだけいただいて、あとは捨てよう!

読書は、それでいい。