『家事か地獄か』by 稲垣えみ子

『家事か地獄か
最期まですっくと生き抜く唯一の選択』
稲垣えみ子
マガジンハウス
2023年5月25日 第一刷発行

 

稲垣さんの2023年の一冊。読んでみたいと思いつつ、図書館の予約はすごい数。とりあえず、図書館の予約を入れておいたのだが、図書館でもっと他に借りたい本がでてきてしまったので、、、本書は、ポチることにした。だったら、もっとはやく、買えばよかった・・・。

斬新なタイトル。『家事か地獄か』
家事をしないと地獄をみるということか、、、と思ったら、そういうことではなかった。

これがほんとうのお金に頼らない生き方”という宣伝文句。

 

目次
はじめに 家事なんてなくなればいい?
1 私が手にしたラク家事生活
   私のラク家事メモ①手ぬぐい一本あれば
2 あなたの家事がラクにならない本当の理由
   ・その1 「便利」をやめる
   私のラク家事メモ②「洗わない」という究極の選択
   ・その2 人生の可能性を広げない
   私のラク家事メモ③いきなり一汁一菜はムリな方へのアドバイス
   ・その3 家事の分担をやめましょう
   私のラク家事メモ④ゼロから料理を始めるあなたへのアドバイス
3 家事こそは最大の投資である理由
   私のラク家事メモ⑤生ゴミ堆肥で「一石五鳥」を体感する
4 老後と家事の深い関係
5 老後を救う「ラク家事」
   私のラク家事メモ⑥私の「お手伝いさん」たち
6 モノの整理が天王山
7 実録・人はどこまでモノを減らせるか
   その1 怒涛のイメージ作り編
   私のラク家事メモ⑦マジで錆びついていた五感
8 実録・人はどこまでものを減らせるか
   その2 怒涛の実践編
   ・洗面所まわり編
   ・洋服編
   ・台所編
   私のラク家事メモ⑧結局最後は宅配弁当?
9 死ぬまで家事
おわりに 総理、家事してますか?(ラク家事えみ子、政治経済を語る)

 

感想。
やっぱり、面白い!!
全部は真似できないけれど、ちょっとは見習いたい。やっぱり、シンプルライフこそ、家事が楽になる秘訣なのだ。

稲垣さんの場合、会社を辞めたことと省エネ生活を始めたことが重なり、どんどんと家電を減らしていった。そしたら、家事が楽になったというのだ!

家事を楽にしてくれるはずの家電たち。洗濯機も、掃除機も、炊飯器も、、、全部捨てた。そしたら、家事が楽になった!というのだ。しかも、家事が楽しくなった!と。
読んでみると、あぁ、なるほど、そうかもしれない、、、と。

 

朝起きたら、まず、洗濯、掃除。手洗いとホウキに雑巾。綺麗な空間となった部屋で一日が始まる。稲垣さんの場合、冷蔵庫も、お風呂もない生活。つまり、その場で消費するものを食し、お風呂は銭湯を利用。。。ざ、シンプル。

モノが少ないことこそ、家事を楽にする極意だったとは。。。

 

稲垣さんの家事を楽にする三原則
1.便利に頼らない
2.可能性を広げない
3.分担をやめる

 

便利に頼らないというのは、洗濯機という便利なものがあるからといってまとめ洗いをしようとする、、、数日分の汚れがたまってから洗う、、みたいなことをやめましょう、と。電子レンジも冷蔵庫もあるから、便利なものがあるから、温め直しをまつ残飯が増え、しまったまま忘れられる食材が出現する。たしかにねぇ。

 

可能性を広げるというのは、あれがあれば、これがあれば、、とあることで可能性が広がると思っていると、不要物がたまるもとになる、と。調理便利グッズ、あれば便利だけれど、なくても困らない。たしかにねぇ。

 

分担をやめるというのは、家族の話。自分の洗濯物は自分がお風呂に入ったときにちゃちゃっと洗ってしまえば、誰か1人に家事の負担がかかることが無い。そりゃそうだ。

家族がいると、なかなか同意を得るのがむずかしいこともあるかもしれないけれど、家事ができる人間こそが、シンプルに自立して生きられる人間!といえば、その通り。

 

面白い話が紹介されている。稲垣さんのお母さんは大の料理好きでいつもこったお料理をつくっていた。でも、痴呆症を患い始めたら、お料理ができなくなってしまって本人も気落ちしてしまった。一方で、修道女の脳の研究で、死後解剖してみるとアルツハイマーを発症しているはずなのだけれど、症状がみられることはほとんどなかった、と。その研究では、毎日変化の少ないシンプルな生活をしていると、多少の脳の衰えがあっても生活に影響しないのではないか?と。

なるほど。。。
シンプルに生きることは、これからの高齢化社会におおいに重要なことかもしれない。そして、便利な家事お助けグッズができればできるほど、人は身体をつかわなくなり、頭をつかわなくなり、、、「認知症患者倍増計画」を着々と進行中なんじゃないでしょうか?!?!と。

 

たしかに、人間の能力というのは、使わなければ衰える。昔の人は、掃除、洗濯、買い物、あらゆる場面で身体をつかった。便利な道具ができて身体を使わなくなったことで、身体の衰えが早まり、脳の衰えも早まる・・・って、確かにありそうな気がする。

 

モノをすくなくすることが、家事を楽にするための第一歩、ということ。今更ながらこんまりさんを読んでおおいに共感したそうだ。

 

「不要物を捨てる」
ほんと、これこそが、第一歩。
部屋の片づけはさっさと終わらせて、理想の暮らしを手に入れよう!って。

 

家事ができないというのは、自分で自分の面倒をみられないということに他ならない。
小さな子供ならいざ知らず、大人なら、自分の面倒は自分でみよう。

家族に家事を任せている人、自分のためにも自分で家事をしよう!

 

って、私は、1人暮らしなので、もともと自分の面倒は自分で見ている、、つもりだ。
私は、料理、洗濯、掃除のみならず、簡単な電気工事、水道関係修理なら、自分でできる。修理してきた家電の数々・・・。 簡単な大工工事、裁縫、、、。地味な生活が嫌いではない。最後まですっくと生き抜けるだろうか・・・。

 

本書を読んで、ちょっと、ほっとした気持ちになった点がある。

稲垣さんの生活の中に、仕事の時間がそんなに多くないこと。。。一日の起床から就寝までのパターンが紹介されているのだけれど、午前と午後と3時間ずつくらいをカフェでの仕事の時間に充てられている。掃除、ヨガ、ピアノ、銭湯、読書、スケッチ、、、と、実に優雅に暮らされている。でも、お金に困ることが無い、と。

 

私も、脱サラと同時にコロナになって、収入が激減したのだけれど、外食と旅行が減ったことで、預金は減るどころか増えたのだ・・・。もちろん、そこそこの収入があったけれど、改めて、お金というのは使わないと貯まる、、、ということ、そして、そんなにがつがつ働かなくても、豊かに暮らせるということに私自身が気づいてしまった。

でも、仕事をやめてから「今何しているの?」と聞かれたときに、「無職」と答えることにはやや抵抗があった。最初の1年くらいは良かった。でも、ずーーっと無職だとなんだか、反社会的な生活をしているようで、ちょっと心苦しいような。 実のところ、まったくの無職になったわけではない。コンサルタント、通訳、などなど、ぼちぼちとは仕事をしているけれど、一日平均労働時間は、サラリーマン時代の1/10かもしれない。

 

のんびり暮らしててもいいんだよね、って、そういうところにホッとしてしまった。

 

私にとっては、料理が趣味なので、稲垣さんほどの粗食万歳生活にはならないと思うけれど、自炊ってやっぱりダントツに安上がりだ。作って楽しく、食べておいしく、お財布にやさしく。

 

自炊ができるっていうのも、生活をゆたかにするキーの一つの気がする。

 

シンプルに生きるって、やってみればいいだけのことなのよ。

そう、実行するかどうか、ってこと。

 

気になるなら、やってみよう。

シンプル生活。

まぁ、私は家電を捨てる勇気はないけど。