『一人飲みで生きていく』 by 稲垣えみ子

一人飲みで生きていく
稲垣えみ子
朝日出版社
2021年9月15日 初版第一刷発行
2021年10月5日 初版第二刷発行

 

ものを持たない暮らしをしている稲垣さん。彼女の本をよんでみたいな、って思って、図書館で検索したら出てきた本。

 

稲垣えみ子さんは、1965年、愛知県生まれ。一橋大学 社会学部卒。 朝日新聞社入社。大阪本社 社会部、週刊朝日』編集部などを経て論説委員編集委員を務め、2016年に50歳で退社。以来、 夫なし、子なし、冷蔵庫なし、ガス契約なしの「楽しく閉じていく生活」を模索中。

アフロ頭がトレードマークのようだけれど、いつから、アフロになって、テレビにでたりしているのか、よく知らない。けど、50歳で退社という潔さが、かっこいい!!
やっぱり、サラリーマンやめるなら、50代に限る!!まだ、体力的にも元気で、精神的にもチャレンジできる余裕がある。

 

表紙裏には、
”幸せになるにはまずお金と思っているけれど、 いくら貯めてもキリがないのがお金。だからみんな不安なんだよね。 
でもお金以外の方法ってものがある。 口先の綺麗事じゃなくて、具体的なやり方ってものがある。 それが大事なんだ。”
と、「はじめに」からの抜粋が。

 

そして、寅さんに憧れて、「一人飲み」の扉をひらいた稲垣さんの体験談が語られる。あの、アフロヘアーだから、「一人飲みなんてへっちゃら」ってキャラかと思ったら、最初は緊張の連続だったらしい。そんな「1人飲み」そうか、そういえば、私はいつの間に一人飲みがへっちゃらになったのだろう。一人旅も一人食事も、いつのまにか、当たり前のことになっていて、、、最初くらいは、緊張したのかな?もう、記憶の彼方・・・・。

 

稲垣さんは、”一人飲みを通じて、生きていくのに本当に必要なものはお金じゃないってことがわかったんだと思う。”と言っている。もちろんお金は必要だけれど、 お金があれば幸せになれるってわけではない。 寅さんを見習えば、いつもお金がなくても幸せにやっていくことは、いくらでもできるのだ!!
ほんとほんとそう思う。
もちろん、一人 飲みに行けるぐらいのお金はないと困るけどね。

 

もくじ

はじめに
1章 「一人飲みできない」とはどういうことか
2章 いざ 突撃!
3章 発表! 一人飲みの極意12か条
4章 居酒屋店主に聞く
5章 一人飲み、一歩前へ!

 

感想。
面白い!!おかしい!
あ、でも、いえてる!!
そうそう、そういうとこあるある!!

 

って、すでに、一人飲みすることにそこそこ慣れている私でも、面白く読めた。女の一人飲みは、男の一人飲みよりハードルが高い。令和の時代は、そうでもないかもしれないけれど、やはり、専業主婦世代を母にもつ昭和世代にしてみると、「女が一人で外で酒を飲む」というのは、それなりのハードルがある。

 

「店の人に、不審がられないか?」という不安と、
「友だちがいない寂しい人にみえないか?」というどうでもいいプライド?と。

 

でも、同世代(50代)の男性陣のなかにも、「一人で飲みに行くなんて寂しくてできない」という友人も結構いる。まぁ、ほんと、人それぞれ。でも、稲垣さんも本書の中でいっているのだけれど、「一人飲み」をすることで、「人生が開ける」のだよ!!

 

会社の同僚や、友人とのみにいくのとはまったく違う。だいたい、どこの誰だかわからない人間となって、店に入るわけだ。他にも一人の客がいれば、時には会話が弾むこともある。あるいは、お店のご主人との会話がすすむこともある。そして、肩書も何もない自分が、赤の他人と共有できる話題をもっているということの重要性に気が付くのだ。

 

一人飲みだけでなく、一人旅でも同じことで、たまたま隣り合った人とリラックスした状態で会話ができるのかどうかが、一人時間を愉しむ一つのコツのように思う。もちろん、ずーーっと一人で考え事をしたり、目の前の食事に集中したり、一人でいる時間が好きだから、一人飲みや一人旅をするのだけれど、外界を遮断してしまってはつまらない。

まっさらな、丸裸な自分でも、他者と心地よいコミュニケーションが取れるようになるって、人生が広がるのだ。

 

”リスクを恐れて、なにもしないことこそ、最大のリスク”だと。

その通り!!

 

稲垣さんが、一人飲みデビューをはたした時の失敗談から始まる。その様子も「あるある」で、わからなくもない。一人客だと思って、なめられないようにしよう!って感じで、自分を大きく見せようとしてしまうこと。稲垣さんの場合、「日本酒」に関する自分の知識を表に出してしまった。それが、お店の人とのぎこちない会話になってしまう・・・。しかも、相手の知識が間違っていた時に、それを修正しようものなら、、、、そこから、心地よい時間は生まれてこない。

飲み屋さんで、「相手の間違いを修正する」って、やってはいけないことの一つのように思う。

そもそも、「命」にかかわる間違いでもない限り、あえて修正するほどのことはない・・・。

 

手持無沙汰でも、携帯をみてしまうと、一人飲みの楽しさは激減する。それは、「私に話しかけないでオーラ」を発するから。まして、イヤホンして動画でも見ていたら、外界との遮断オーラ以外のなにものでもない。スマホは、指先一つで世界とつながれる。でも、人間は同時に二つのことをすることはできない。スマホを手にしてしまった瞬間、せっかく目の前にある「一人飲み」が生み出す世界とのつながりを、ぷっつりと切ってしまうことになるのだ。稲垣さん曰く、

超便利なものには、超深い落とし穴があるのだ。”と。ほんと、その通り。

 

まぁ、一人飲みの楽しみ方、一人飲みによって開かれる世界、いろいろあるけれど、ここは、稲垣さんの「一人飲みの極意12か条」を覚書しておこう。

 

極意その1 「一人客の多い店」を選ぶべし
極意その2 一人客用の席に座るべし
極意 その3  まずは静かに店の様子を観察すべし
極意 その4  間が持たなくなってもスマホをいじってはいけない
極意 その5 最初の酒は素早く注文すべし
極意 その6  肴の注文は じっくり 全力で行うべし
極意その7  出された酒と料理は集中して味わうべし
極意 その8  食べた(飲んだ)後は、感謝を込めて感想を伝えるべし
極意その9  手持ち無沙汰になったら、他の客の会話にじっと耳を傾けるべし
極意 その10  会話は強引にするものではないと心得るべし
極意 その11 まずは、 カウンターの向こうにいる店の人と会話を始めるべし 
極意 その12  隣の見知らぬ人の幸せを祈る。 それこそが一人飲みの幸せである 

 

友人といっしょであろうと、一人であろうと、お店の主人や周囲の客にも敬意をはらい、提供された食事とお酒を大いに楽しむ。そして、感謝する。必要以上に店のスペースを占有しない。空気のように楽しむ。

 

不愛想な店の主人がいると、この店失敗したな、と私たち客が思うように、お店の方も不愛想な客がくれば、へんな客来ちゃったな、って感じるものだ。かつ、このお客さんをいかに楽しませるか、と頑張ってしまうのが店主というもの。そんなときには、店主の幸せをねがって、あかるくコミュニケーションしよう。

 

「一人飲み」、私もお薦めする。

何者でもない自分になれる一人飲み。それは、大人の楽しみの世界なのだ!

社長さんでも、フリーターでも、一人で店に入ればただのひとりの客。肩ひじ張らずに、人と比較する事なんかわすれて、その時間を愉しむ。

 

「誰かといっしょじゃないと行動できない」を卒業すると、世界は何倍も広くなる。かつ、「誰かと一緒」であることの楽しさやありがたさも再認識できる。大人の世界への一歩、一人飲みをたのしもう!

 

2023年も、とうとう大晦日。コロナだろうが、コロナじゃなかろうが、時間は流れる。

2024年も、同じようにやってくる。大晦日やお正月だけが特別な日ではなく、毎日、毎日、同じように24時間がやってくる。

その時間をどう使うかは、結局、自分次第。

来年も、

自分の人生は、自分で考えて、自分で決める。

で、やっていこう。

新しい本、新しい旅、新しい自分に出会う、楽しい一年にしよう。

読みたい本、行きたいところ、やってみたいこと、まだまだリストは続く・・・。

そして何より、健康第一!

食べる!動く!寝る!で。