Qアノンの正体
陰謀論が世界を揺るがす
ウィル・ソマー
西川美樹 訳
河出書房新社
2023年11月20日 初版印刷
2023年11月30日 初版発行
先週末、2024年2月24日の日経新聞朝刊の書評欄で紹介されていた。紹介のされ方が、「絶賛」ではないところが、ちょっと興味をひいた。Qアノンなんて、わけのわからない団体だろうと思っているし、陰謀論にも興味はないのだけれど、、、。今年は、まさにアメリカで大統領選選挙が行われる。今まさに共和党の予備選で、トランプ元大統領が圧倒的勢いを見せている。サウスカロライナでもニッキー・ヘイリーはトランプに負けてしまった。。。はたして、本当にトランプ陣営の強さは、Qアノンと関係しているのか?否??
よくわからないけれど、Qアノンって、ググって検索するのすら憚られるので、読んでみるか、、、と。図書館で検索してみたらちょうど入荷したてらしく、すぐに借りることができたので借りて読んでみた。
黒い装丁で、いかにも陰謀論っぽい?!
著者のウィル・ソマーは、1988年生まれのジャーナリストで、「Qアノン」からは、「天敵」とされているらしい。現在、ワシントン・ポスト紙メディア記者。本書は、Qアノンについて文字通り身体をはって取材したことが書かれている。
目次
はじめに/嵐(ストーム)
第1章/起源
第2章/Qのことを訊いて
第3章/Qの神官たち
第4章/Qは誰か?
第5章/世界を救う計画
第6章/ウィルス負荷
第7章/マトゥーンの魔法使い
第8章/知った者は眠れない
第9章/Qアノンの誘拐犯
第10章/パパがレッドピルを飲んだなら
第11章/Qの議員連盟(コーカス)
第12章/ベビーQ
第13章/Qは国境を超える
おわりに/愛国者が支配する
感想。
なんじゃこりゃ・・・・・。
307ページと、なかなかの分厚さの本なのだけれど、50ページくらいよんだところで、読むのを辞めようかと思った・・・・。時間の無駄か?!
やっぱり、私自身が、陰謀論とかQアノンにまったく興味が持てないのだ・・・・。
でも、一応、Qアノンが何なのかがわかるくらいまでは読んでみるか?と思いつつ、、、おそらく、その答えは、「はじめに」に既に書かれていた。そして、あとは、私に言わせれば常軌を逸したカルト集団のおかしな行動やら、それに対する著者の解釈やらが綴られていた。
まぁ、要するに、一種のカルト集団だろう・・・。何を信じているかって?
「世界で最も力を持つ人間ーーハリウッドや民主党、大企業の大物たちがーー率いる極悪組織が何千マイルも続く地下トンネルに子どもたちを閉じ込めている。一目につかぬように隠されたこの地下トンネルの子供達(mole children)を小児性愛者らが虐待することで子どもたちの体内からアドレノクロムを抽出し、この垂涎の液体をセレブや世界で最も裕福な金融界の人間が若さを保つために飲むという。トランプと米軍は子どもたちを救出するためにコロナの世界的流行を隠れ蓑に使っている。このウィルスに対処すべく配備された海軍の病院船は、実は救出された子どもたちを密かに治療していた。ついでに言えば、地震もその大半は本物の地震などではない。陸軍が小児性愛者の地下の隠れ家を破壊下際に生じる地震的事象・・・・・」
は???
で、こういった情報を流しているのが「Q」という人らしい。
でもって、Qアノンとは、Qからの情報を共有しあう「匿名」=anonymous(アノニマス)の人々ので、自分たちをアノニマスを縮めて「アノン」とよびはじめたことから、Qアノンとなったらしい。
もう、本書からは、これだけの情報で十分である。
と、残りは、さーーーーーーーっと、速読のみ。
「おわりに」で著者が言っているのは、Qアノンのような人々がでてくるのは、自分たちの声を訊いて、ニーズをみたしてくれる政府がないからだということ。自分の居場所がないと感じた人々が、Qアノンに嵌っていく。
そして、世の中のあらゆることに、Qからのメッセージが隠れているのではないかと一生懸命探す。「Q」、アルファベットで17番目なので、「17」、これらが含まれていると、隠されたメッセージが届いたと考える・・・。
本当にトランプが救ってくれると思っている人、自分が正義の味方になるためにと
「地下トンネル」に協力しているとSNSで書き立てられたピザ屋さんを襲撃する人、、、January6に、議事堂を襲撃して射殺されてしまった人、、、。
アメリカの分断とQは無関係かもしれない。というか、Qがでてきたことで分断してしまったわけではない。「クリントンが逮捕される」とか、明らかに選挙妨害のような情報を流しているというのは事実だけれど、善良なピザ屋が襲撃される必要がどこにあるのか??
なにか、不安や不満があると「誰かを悪者にしたい」という、犯人捜し根性が、Qを生み出し、Qアノンを作り出したのではないだろうか。。。
とても、じっくり読む気にはならない本だった。もう一つ、最後に著者の年齢を見た時に、あぁ、そうか、、、というなんとなく、若者が書いたわけね、、という納得感があった。
どこということはないのだけれど、、、。
まぁ、とにかく、Qアノンと呼ばれる人々の多くがトランプを応援している。トランプ陣営としては、Qアノンを肯定するわけではないけれど否定すると票が逃げるのが怖いので、否定はしない。と、そんな現実が見えてきた。
なんだかなぁ、、、。
集団ってこわい。
フランス革命だって、そうやって、王様ギロチンで殺しちゃうんだから・・・。人間の集団意識って怖い・・・。
と、そんなことを思った、いまいち後味の悪い一冊だった。
アメリカでは読まれるかもしれないけど、多くの日本人には、「私には関係ない」って感じの一冊だと思う。
そして、個人の「不満」「不安」が生み出す、社会の不安。。。プーチンがいなくなってもプーチンの代わりを求める人がいるように、トランプがいなくなってもトランプの代わりを求める人がいる限り、第二のトランプはでてくる。。。
アメリカの大統領選の行方はいかに・・・・。