『アーサー王物語』by ジェイムズ・ノウルズ

アーサー王物語
ジェイムズ・ノウルズ 作
金原瑞人 編訳
偕成社文庫
2000年7月 1刷 
2017年9月 16刷
KING ARTHER AND HIS KNIGHTS

 

読み物として有名な、『アーサー王物語』だけれど、読んだことが無かった。 先日 図書館を歩いていたら、 児童書のコーナーで見つけたので、読んでみることに。

 

読み終わって、訳者解説をみてはじめて気が付いたのだが、『アーサー王物語』は色々な作家が「アーサー王伝説」を物語としてかいているらしい。なんと、夏目漱石も、アーサー王を主人公にした作品を一つ書いているのだと。 『薤露行(かいろこう)』という作品だそうだ。知らなかった。

 

アーサー王伝説は、紀元6世紀頃、イギリスにモデルとなった人がいたようだがはっきりとしたことは分かっていない。 当時、多くの人々に尊敬を集める優れた王がいたことは確かなことだそうだ。先日の、 フランク・ロイド・ライトの展示会でも、アーサー王に仕えた誇り、、みたいな話が出てきていた。

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そして、このアーサー王は伝説となって、物語は次第に膨らんでいく。多くの騎士の物語が加わり、魔法の話が加わり、聖杯探求の話が加わり、、、。
12世紀に、 ジェフリー・オブ ・モンマスという年代記作家がブリテン王列伝』をかき、15世紀に、トマス・マロリーがアーサー王の死』をかいた。そして、18世紀、19世紀、20世紀と、多くのアーサー王物語』が誕生した。マーク・トウェインの『 アーサー王宮のコネチカットヤンキー』は、奇想天外なパロディだそうだ。

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そして、今回は、たくさんのなかから、まだ翻訳されていないもの、子どもでも読めるもの、センチメンタルではないもの、という条件で探し、ジェイムズ・ノウルズの『アーサー王物語』を翻訳するに至ったということ。ジェイムズ・ノウルズ(1831~1908)は、建築家でジャーナリスト。ロマン派で作家や詩人とも付き合いがあり、自分で評論なども出す人だったらしい。

 

ということで、そんなジェイムズ・ノウルズの『アーサー王物語』を、思いっきり「かっこよく」訳したとのこと。

 

表紙の裏には、
アーサー王と円卓の騎士たちの物語
魔術師マーリンに守られ、
不思議な運命を持って生まれたアーサー王
今から剣を引き抜き、 王となるや、
 名剣エクスカリバーを手に入れ、
ブリテン国を統一する。
そして、 美しい グウィネビアを妃に迎え、
 円卓の騎士 と呼ばれる地上最高の騎士たちにかこまれる
しかし、理想の騎士団は結局は長くは続かなかった。”
とある。

 

目次
序章
第1章  アーサー、岩から剣を抜いて王となる
第2章 アーサー、 名剣エクスカリバーを手に入れ 反逆者を打ち破る
第3章 アーサー王、王国よりサクソン人を追い払いブリテンを統一する
第4章  アーサー王アイルランドノルウェーガリアとフランスを征服する
第5章  バリン卿の悲劇
第6章 バリン卿、痛恨の一撃。弟のバラン卿との戦い
第7章  ア―サー王と グウィネリア王妃の結婚、そして 円卓の設置
第8章 アーサー王、 ローマを征服し 皇帝に即位
第9章 湖の騎士ラーンスロット卿の冒険
第10章 ボーメン卿またはガレス卿の冒険
第11章 聖杯の探求とパーシヴァル卿、ボールズ卿、ガラハッド卿の冒険
第12章 ラーンスロット卿とアストラッドの美妃
第13章 アーサー王とラーンスロット卿の戦い
第14章 アーサー王の最期

 

感想。
うん??何だこりゃ??
なんとも、とりとめのない、、、、。話の内容としては、目次にある通りの登場人物が、目次にある通りのことを体験、経験していくのだが、、、要するに、侵略、征服の時代において、アーサー王ブリテンを守ったんだぁ!って話。でも、最後は、ラーンスロット卿と自分の妃の不倫を疑って、無用な戦い、、、。

 

時々でてくる、魔術師や魔法を妖精みたいな登場人物が、物語を完全フィクションの世界に誘い、多くの騎士が、自分の名誉と欲のために戦う。最悪なのは、兄弟で協力しあっていたはずのバリン卿とバラン卿が、仮面や姿形を換えているために相手がだれだかわからないまに戦い、命を落とす、、、。

 

えぇぇ?!これが、どこが面白い話なの?!?!と思ってしまった。

 

なんとも、とりとめがない。妖女に惑わされたり、あやしげな男がでてきたり、、、。みんな、自分はアーサー王に仕える勇ましい剣士だと思っている。まぁ、そうかもしれないけど、普段は、宴会して飲んだくれているだけじゃないか!ってつっこみたくもなる。

 

これは、ブリテンの人にとっては、国の英雄の話なんだろう。ローマを追い払ったあげく、ローマを征服したことになっているアーサー王。史実はちょっと違う、、、、。

ブリテン人のためのおとぎ話、、、かなぁ。。。。

湖から魔法の剣がとどいたり、白い竜と紅い竜が闘う姿がアーサー王出現の兆しだったり、、。アイルランドから力ずくで奪いとった巨石で、騎士たちの墓を飾ったり、、、。
ちなみに、そしてできた記念碑が、ストーンヘンジということになっている・・・。

毒殺されたり、剣で刺されて死んじゃったり、次から次へと騎士が死ぬ。魔法がかかる。。。意外だったのは、アーサー王自身のはなしは、半分以下くらいってこと。だれが主人公の物語だかわからなくなるくらい。。。

アーサー王を軸にしたお話の方が面白そうだな、、、って思った。

 

こんど、夏目漱石の『薤露行』でも読んでみるか。。。。マーク・トウェインの『 アーサー王宮のコネチカットヤンキー』も面白そうだ。でも、本家本元を読んでおかないと、パロディが楽しめないよね。。。果たして、本書は、本家本元のアーサー王物語といえるのだろうか、、、。

と、ちょっと謎の残る感想・・・。


ま、児童書だったしね。アラビアンナイトは、児童書でも結構楽しめたけれど、本書はちょっと消化不良感を残した。ま、アーサー王物語がどんな感じか、、、っていうイメージは出来たかな。あと、ブリテンスコットランドアイルランドの歴史も垣間見えたかもね。

 

ふ~~~~ん、で?!って感じ。

ま、そういう読書もあるよね・・・。