『子どもの詩集 たいようのおなら』  灰谷健次郎 編

子どもの詩集 たいようのおなら
灰谷健次郎 編
長新太 絵

のら書店
1995年6月20日 初版発行

 

2024年5月14日の日経新聞朝刊、春秋の記事で引用されていた。

 

灰谷健次郎さんらが編んだ児童詩集「たいようのおなら」は瑞々(みずみず)しい感性が光る名作だ。表題作では太陽がおならをする。すると「ちきゅうがふっとびました/つきもふっとんだ/星もふっとんだ/なにもかもふっとんだ」。太陽の迫力を壮大なスケールで描いて鋭い。”

と、先日から太陽表面の爆発現象で、GPSへの障害が起きたり、オーロラが各地で観察されるかも、というニュースにまつわる記事。太陽フレアが太陽のおならなら、、、って、面白過ぎる。記事の最後は、

”太陽発の災厄で滅ぶなら諦めもつく。だが自滅はご免だ。”で、締めくくられていた。そうね、、、。記事は真面目なものだけれど、私には、この本が気になった。

 

太陽がおならして、地球がふっとんだ、、、なんて可愛い!ほんとに起きたら、なんて大変!!なんだけど、、、。

で、面白そうと思って、その本を図書館でかりてみた。

 

記事をよく見ないで借りたので、てっきり「絵本」かとおもったのだけれど、絵本は絵本だけれど、「詩集」だった。こどもたちの詩集。

 

表紙をめくると、
” 子どもたちの飾らないことばと
やさしいまなざしがいっぱいの、
豊かな感受性にあふれた詩集。”
と。

 

もくじには、詩のタイトルとその作者の名前。5ページにわたる。本は、100ページ。たくさんの詩がシンプルなペン画のイラストとともにひらがなをメインに編集されていて、とても、可愛いらしい。やさしい。ほんとに、、、、やさしい。

そして、詩の一つ一つに、灰谷さんの一言コメントが書かれている。灰谷さんも「まいった!」ってコメントがあって楽しい。でも、リズムよく、子どもの詩だけをよんでいると、ほんとにほのぼの、、、ふふふ、、あれれれ、、、とほほ、、、子どもはよく見ている。

作者は、5歳~7歳がメインだろうか。そんな幼い子供が、、、、口にしたことを大人が書きとったのかもしれないけれど、とにかく、、、子どもの直感力には感服!って感じ。

 

借りてすぐに電車の中でパラパラ見ていたら、思わずぷっと声をだして笑ってしまった。大人としては苦笑、、、っていう父さんとお母さんを描いた詩には、まいりました、って感じ。

 

冒頭の「たいようのおなら」も秀作だけれど、どれもこれも、すばらしい。

 

「たいようのおなら」   にしづか えみこ(7歳)
たいようがおならをしたので
ちきゅうがふっとびました
つきもふっとんだ
星もふっとんだ
なにもかもふっとんだ
でも うちゅうじんはいきていたので
おそうしきをはじめた”


どうだ、これ!!!
まじか!
宇宙人お葬式したの?
どんなお葬式だった?
えみこちゃんにきいてみたい。

 

どれもこれも、紹介したくなる詩ばかりだけど、特に私が気にいったものを少しだけ、、、。

 

ゆでたまご かしま じゅんいち(6歳)
かわを むいた
はじめに くも
つぎは
おひさまが でてきた”

 

そうだよね、たまごの黄身って太陽だよね!!

 

「いぬ」 さくだ みほ (6歳)
いぬは
わるい
めつきはしない”

 

なるほど、人間でわるいめつきするやつがいたんだね。

そんなやつのことはほっておこう。


「わたし」 いのうえ あきこ(6歳)
おふろだいはようちえんが30えんで
いちねんせいが70えんです
おかあさんはあきえはちいさいのに
70えんもいるといっておこります
わたしはちいさいけれどいちねんせいです
だから70えんはらっておふろにいきます
ようちえんではありません”

 

わたしも、チビだったからわかるよ。子供扱いされるとしゃくに触るんだよね。

 

「せんせい」 いいお つた(6歳)
わたしのせんせいは
てつぼうを 10かいさせます
せんせいは 1かいもやりません”

 

先生、ずるいね。

でも、もしかしたら、先生できないのかもしれないよ。

そっとしておいてあげよう。


「ゆめをみるから」 なかむら まゆみ(4歳10ヵ月)
いまから
パパのゆめをみるから
まゆみちゃんがねてから
おめめのなかに
はいってきてね”

 

パパはまゆみちゃんをパパの目の中にいれちゃいたいよ。

 

「おかあさん」 ただ ともこ (6歳)
おかあさんが
さかなをやいているとき
おかあさんとさかなが
にらめっこしている”

 

で、どっちが勝った?!

 

「男にうまれたら」 そうだ かよこ (8歳)
もしも わたしが
男にうまれたら
にょうぼうと
ちゃんばらしてやる”

 

だよねー。

おとこにうまれたら、にょうぼうとちゃんばらして、勝ってやろう!

 

 

いやぁ、、、ホントに、癒された。

この子たちも、今は立派な大人で、すでにお父さんやお母さんになっているんだろう。

言葉にするって、直観だね。

あれこれ考えずに、言葉にできるほうが、詩になる。

 

最後に、灰谷さんの言葉をあとがきから。

 

” 子どもの詩を読んでいると、心が和む。 くよくよ、いらいらすることがあっても、子どもの詩を読んでいると、ほぐされたように、気持ちが柔らかくなり、いつか平穏になっている。

もっと積極的に、生きようとする力のようなものが湧いてくることさえある。

不思議だなぁと思う”

 

詩も、好きだ。