トンダばあさん
北村裕花 作・絵
小さい書房
2017年10月20日 第一刷発行
『世界をひらく60冊の絵本』(中川素子、平凡社新書)の 「第六章 老いの姿を見つめる」からの紹介本。図書館で借りて読んでみた。
横に長い本の表紙には、トンダばあさんの顔がはみ出るほどにいっぱいに。
表紙をめくると、
”シワが気になる全人類へ!
お子さん、お孫さんといっしょに おたのしみください”
との文字と一緒に、鏡にうつった自分の顔をみてへの字が顔のおばあさん。
でも、中表紙のおばあさんは、楽しそうににこやかにお花に水やりをしている。
著者の北村さんは、 1983年生まれ。 美術美術大学卒業。『 おにぎりにんじゃ』で第33回講談社絵本新人賞佳作受賞。NHK Eテレで放送中「 ヨーコさんの”言葉”」の絵を担当。
おばあさんは、楽し気に庭でお花に水をやっている。
「あら、おばあさん、こんにちは」と通り過ぎる女性は、ミニスカートにハイヒール。
「わたしも、昔は ミニスカートにハイヒールなんかはいて、しゃれてでかけあもんだけどねぇ。」と。、鏡を見つめるおばあさん。
そして、このしわ、伸びないものかしら、と顔をひっぱってみると、どんどん伸びる。どんどん伸びる。そして、おばあさんは風に乗ってふわりと窓から外へ、、、。
「あ、せんたくものがとんでいる」とおばちゃん。
「せんたくものじゃありませーん」
「おいしそうな”ナン”デスネー」とインド人。
「ナンじゃありませんーん」
空を飛んでいると、雨に当たる。鳥は、おばあさんのペラペラになった顔のしたで雨宿り。
ぶら下がって体を乾かしていたら、子ザルのトランポリン。。。
子ザルが遊んでいるところにハチの大群がやってきた!
「ここは、おばあさんにまかせない!」
ばっさばっさとペラペラの顔であおぐと、ハチはぶ~~~~んとどこかへ飛んでいった。
よかったねぇ、子ザルたち。
大きな顔のままゆっさゆっさと歩くおばあさんは、サッカーで6-0でボロボロに負けているチームを見つけると、「ここはおばあさんにまかせなさい!」といって、大きな顔でゴールの前に立ちはだかる。おばあさんの顔は、ゴールの枠をはみ出るほど大きい。
おばあさんにゴールを守ってもらって、弱気だった赤チームも大奮闘。結果は、6-0で負けちゃったけど、「みんなよくがんばったね」といって、暑そうなこどもたちをパタパタ大きな顔で仰いであげた。
子どもたちは笑顔を取り戻す。
子どもたちと別れたおばあさんは、お腹がなった。
「そういえば、朝からなんにもたべていないわ あぁ、おなかすいた」
せっかくのばしたシワだけど、小さくたたんで、懐かしの我が家にただいまー。
いつものいすにこしかけて
おばあさん もようやくほっとひといきつきました。
「ねぇ、タマ わたしね きょう 空を飛んだのよ!
ふふふ それからね・・・・」
と、テーブルでお茶を頂きながらくつろぐおばあさんと猫。
おしまい。
ふふふ、、、、トンダおばあさんというのは、「トンダさん」ではなくて、「飛んだおばあさん」なのかな?
どっちでもいい、楽しいお話。そして、楽しいイラスト。
なんとも、おちゃめな一冊でした。
これは、、、大人の絵本かな。
ついでに、Eテレで放送中「 ヨーコさんの”言葉”」というのを知らなかったので、YouTubeで見てみた。あら、、意外と素敵。本にもなっているらしい。
”ヨーコさんの言葉「親切だなあ」”
ほのぼのイラストが、お話とよく合っている。
絵本は、楽しい。
けど、おばあさん、サッカーのゴールをのびた顔でふさぐのは、反則だろう・・・・。