『りすのナトキンのおはなし』 by ビアトリクス・ポター

りすのナトキンのおはなし
ビアトリクス・ポター さく・え
いしいももこ やく
福音館書店
1973年1月20日 発行
1988年4月1日 新装版発行
ピーターラビットの絵本ー10

 

石井桃子さんの翻訳絵本をもとめて、ピーターラビットシリーズの続き。

megureca.hatenablog.com

 

図書館にあったのは、新装版改版ではなく、1988年の新装版でちょっと古い。ボロ・・。

 

シリーズ10は、また、新しいキャラ。りすのナトキン。55ページ。なかなかの長作。そして、なかなか痛いストーリーだった。ナトキンは、いまならば病名をつけられそうなくらい、、、周囲の迷惑を省みない、going my wayな、あかりす。読んでいて、ちょっと辛くなる感じ・・・。

 

”これから するのは、しりきれしっぽのおはなしです”とはじまる。

 

しっぽが切れちゃうナトキンのお話なのだ。しかも、不慮の事故ではなく、ナトキンはしっぽを失う。あかりす自慢のふわふわしっぽを、、、、ぶちっと切って、、、ふくろうから逃げるのだ。けっこう、怖いはなし・・・。

 

ナトキンは、トインクルベリというお兄さんや、いとこ達と一緒に湖のそばに住んでいる。その湖の真ん中には島があり、りすの好物であるどんぐりや栗の木などがある。そして、それらの木のまんなかには、かしの木が立っていて、木の穴にはブラウンじいさまというふくろうが住んでいた。

ある秋、木の実がたくさんなっているころ、りすたちは小枝でちいさないかだをつくると、ふくろう島まで木の実を取りに出かける。どのりすも、小さな袋と大きなオールをもって、しっぽを広げて帆のかわりにして島までやってきた。

その様子が描かれたりすたちの後姿の絵は、とてもかわいい。

 

そして、ブラウンじいさまへ、おみやげに太ったねずみを3匹持っていき、
「おとしよりのブラウンさま、どうぞあなたのしまで、木の実をとることをおゆるしくださいませんか」とご挨拶。

”ところが、ナトキンだけは、たいへんなまいきで、小さな 赤いさくらんぼのように ぴょんぴょん とびはねながら、こう うたいました”

「なぞなぞかけた なぞかけた!
あかいふくきた 小さいおとこ!
つえを手にして のどには小石。
このなぞとけたら 1えん しんじょ!」

と、ナトキンは、ブラウンじいさまに、おおむかしからあるなぞなぞを歌う。
ブラウンじいさまは、しらん顔。がんこに目をつぶると眠ってしまう。

 

ナトキンのちょっかいをガン無視するブラウンじいさま。

 

りすたちは、木の実をひろうと、森に帰っていく。そして、翌日も同じように島に行くと、ブラウンじいさんにふとったもぐらをお土産にさしだし、ご挨拶。でも、ナトキンは、ブラウンじいさまのあごをいらくさでくすぐりながら、また、なぞなぞ。
ブラウンじんさまは、もぐらをもって家の中に入り、ナトキンのはなさきで、ぱたんと戸をとじてしまう。

 

ナトキンは、鍵穴から中をのぞき、さらに、なぞなぞをうたう。

りすたちが木の実を小さな袋いっぱいに拾っている間、ナトキンは木の実でビー玉をして遊びながら、ブラウンじいさまのいえの玄関を見張っていた。

 

3日目も、りすたちは、ブラウンじいさまに、さかなをお土産にご挨拶。でもナトキンはお土産も持っていかない。そして、また、なぞなぞのうた。

 

4日目も、りすたちは、ブラウンじいさまに、ごみむしのお土産。虫は一匹ずつスカンポの葉でつつまれていた、たいしたご馳走だった。でも、ナトキンはあいかわらずなまいきに、なぞなぞのうたを歌い続けている。

 

ほかのりすたちが、せっせと木の実を集めている間、ナトキンは一人で木の実であそんでいた。

 

5日目も、りすたちは、ブラウンじいさまに、はちの蜜をお土産にご挨拶。でも、ナトキンは、飛んだり、はねたりしながら、また歌う。

 

ブラウンじいさまは、ナトキンの行儀の悪さに、うんざりしたというように、目を天井の方に向けてしまう。

 

6日目は土曜日で、りすたちが島にいくのも今日が最後の日。りすたちは、ブラウンじいさまに、卵をお土産にご挨拶。でも、やっぱり、ナトキンはひとりではしって、わらって、なぞなぞ。

ブラウンじいさまは、卵はお気に入りの様子。その前で、ナトキンは一人でとんだりはねたり。そして、また歌いだす。すると、ナトキンは、とびはねながらブラウンじいさまのあたまに、とびかかっていきました!
その時、突然ぱたぱた、ばたばた、と音がして、「きいー!」という大きな叫び声。ナトキンは、ブラウンじいさまのチョッキのポケットに入れられてしまった。

ブラウンじいさまは、ナトキンを家の中についれていき、しっぽをもってぶらさげて、かわをはごうとする。そのとき、ナトキンが暴れて、夢中で逃げ出そうとする。そして、しっぽはぶっつりきれてしまった・・・。


”いまでも、だれかが 森の中でナトキンにあい なぞをかけてやりますと、ナトキンは、そのひとに ぼうをぶつけて、あしをばたばたさせて、「くっくー くっくーくるるるー くっくっく!」と、わるぐちをあびせかけます。”

THE END

 

なんか、こわーーーい。
落ち着きがなく、自己中心、ひとの迷惑をかえりみないナトキンは、ブランンじいさまのエサになるところをしっぽを犠牲ににげだした。けど、懲りていない・・・。

懲りないナトキン。反省のないナトキン。

 

これは、なかなか、難しい。子どもにどう説明するのか。ナトキンみたいなお友達がいても、それは多様性ということなんだと教えるのか?

 

けど、ひとにぼうをぶつけるのは、いけません、ね。

 

でも、わたしなら、ナトキンとはあまりお近づきになりたくない・・・っておもっちゃうかも。一方で、ブラウンじいさまがナトキンを無視しないで、なぞなぞに答えていたら、、、ちがうお話になったのかもしれない、、、とも思う。見方をかえれば、ブラウンじいさまが、パワハラじいさんじゃないか、、、、なんて。

 

なかなか、なぞなナトキンのおはなしだった。

 

なるほどね、ピーターラビット