『マンガ日本の歴史19  南北朝動乱の中の京と田舎』 by 石ノ森章太郎

マンガ日本の歴史 19
南北朝動乱の中の京と田舎
石ノ森章太郎
中央公論社
1991年5月5日 初版印刷
1991年5月20日 初版発行


 『マンガ日本の歴史 18 建武新政から室町幕府の成立へ』の続き。18巻では、後醍醐天皇がとうとう倒幕へと立ち上がり、隠岐に流され、脱出してふたたび立ち上がり、、建武の新政に失敗して、尊氏に敗れ、、、。19巻では、それでもまだ明らめない後醍醐天皇南朝と幕府との確執、幕府内での確執、、、後醍醐天皇亡きあとも、北畠親房を指導者として動き続ける南朝。。。

 

目次
序章 分裂する社会
第一章 一天両帝
第二章 後醍醐天皇逝く
第三章 観応の擾乱
第四章 果てしなき動乱

 

1336年、後醍醐天皇は、建武の新政が上手くいかなくて、結局尊氏に権力を握られてしまい、京を脱出。執拗に、権力奪取をねらうのだった。

この辺りは、やはり、太平記に詳しい。

 

南朝、大和の吉野に行宮(あんぐう)を設けた後醍醐天皇は、奥州の北畠顕家、北陸の新田義貞、伊勢の北畠親房をたよりにし、各所に親王を預けていた。

天皇家が2つに分裂するということは、武家、貴族、寺社の分裂にもつながり、動乱の時代となった。

 

また、幕府の中でも、尊氏と直義(弟・ただよし)の間で権限の分割が行われ、後の兄弟の確執につながっていく。

 

後醍醐天皇の要請を受けて、最初にたちあがったのは、奥州の北畠だったが、苦戦を強いられる。北陸の新田軍勢も金崎城で籠城するものの、食料が尽きて力尽きる。援軍が次々と倒れ、後醍醐天皇のいら立ちはますばかり・・。

 

そのころ、尊氏は、佐々木道誉から、南朝の動きについての情報を得ていた。南朝を支持する北畠軍や新田軍は、兵糧を現地調達といって農民から略奪していくので人びとに恐れられ、嫌われた。

北畠顕家も、新田義貞も、最後は呆気なく敗死した。

 

1338年、足利尊氏は、征夷大将軍の称号をうける。

1339年、後醍醐天皇が病没。52歳。

 

後醍醐天皇は法体にもならずに、吉野山の麓、蔵王堂の東北の林の奥に築かれた円丘に、京に向かって北面して埋葬された、、という。

義良(のりよし)親王践祚し、後村上天皇となる。まだ、12歳。

 

尊氏は、夢窓疎石のすすめで、後醍醐天皇の怨霊を鎮めるために、天龍寺の建設をきめる。天龍寺は、1345年に完成。この時、天龍寺の建設費用を捻出するために元と貿易した舟は、「天龍寺船」とよばれた。

天龍寺の建立を機会に、鎌倉と京都に、幕府の公の寺として、禅宗寺院の五山体制が整備された。天龍寺京都五山第二寺となる。

全国通訳案内士で勉強したのに、すっかり忘れている五山。
ここで、復習。

京都五山
南禅寺
天龍寺
相国寺
建仁寺
東福寺
万寿寺

鎌倉五山
建長寺
円覚寺
寿福寺
浄智寺
浄妙寺

たしか、南禅寺があとから追加されて、天龍寺は二寺になったんだ気がする・・。

 

後醍醐天皇が歿した後も、北畠親房常陸の国で東国の武士をあつめ、南朝のために『新皇正統記』をしるした。

しかし、親房は、足利方の高師冬らに攻められ、東国の拠点を失うと吉野に戻った。

しばらく安定しているかに思われたが、今度は、楠木正成の遺児らが、九州で立ち上がる。そして、師直・師泰の足利軍と対戦。神仏も天皇の権威ももろともせず、火を放って寺社を燃やし尽く師直らに、楠木勢は敗北・・。

しかし、このやりたい放題の師直らのやり方に、尊氏の弟・直義は不快感を隠せない。幕府内での確執となり、兄・尊氏とも仲違いを起していく。

 

尊氏は、これ以上直義と一緒に権力を分割していくのは難しいとして、直義にひきさがらせ、息子の義詮(よしあきら・千寿王)をたてる。直義は越前にひきこもる。

京都の尊氏・義詮、吉野の親房、越前の直義と、三つの勢力が牽制し合う時代となる。

が、そこでもう一つのかく乱因子、尊氏の子(『私本太平記』では、藤夜叉と高氏の子、不知哉丸(いさやまる))・直冬南朝について立ち上がる。親房も歿した後、南朝を直冬をかついで戦い、一瞬、京都を奪還する。が、結局は、父・尊氏に打たれ、八幡(九州)に引き返し、直冬派は分解。

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そうしているうちに、尊氏が病で1359年歿する。義詮は、南朝殲滅を計画し、川内金剛寺にいた後村上天皇を攻め、1360年には金剛寺の房舎35宇を全焼させた。

 

南朝懐良(かねよし)親王は、大宰府にはいり、幕府の介入をはねつける強固な王国「征西府」を築いた。

九州を除き、幕府はほぼ全国を勢力下にいれ、安定し始める。

1367年、義詮は、嫡子義満(10歳)に政務をゆずり、細川頼之を執事(管領)とした。

ようやく、三代将軍義満の南北合体の時代へと歩み始める。

 

兄弟、親子の確執、、、日本人って執念深いのか・・・。