ブリザード・フラワー
亀野仁
角川春樹事務所 ハルキ文庫
2024年5月18日 第1刷発行
先日の『暗黒自治区』に続いて、知人に貰ったので読んでみた。
帯には、
” 真相を追う警視庁の祟り女神・氷見麻里子。
凶悪な女刑事、降臨!
警察拳銃が大量に 強奪、 都内にばら撒かれた。
そして凶悪事件が頻発し始める。
一体だれが? なんのために?”
裏の説明には、
” 老朽化した 警察 拳銃を新しいものに交換することとなり、 廃棄処分のために 移送されていた 拳銃 140挺と実弾1400発が何者かに強奪された。 犯人はその拳銃に弾丸を装填し無作為にばら撒いた。「 お役に立つと思います」 という メモとともに。 そして 都内では重大犯罪や自殺が頻発し始めた。 厳重警戒体制下に置かれた東京。「 警視庁の祟り女神」と呼ばれる組織犯罪対策部の 氷見麻里子(ひみまりこ)は、 バディの越石渉(こしいしわたる)とともに奪われた拳銃を追う・・・。
警察小説シーンに 新たなヒロイン誕生!”
とある。
目次
序章 事件群
第一章 八月二日 越石
第二章 八月三日 越石
第三章 六ヶ月前 トゥン
第四章 八月三日 夜 越石
第五章 八月三日 数時間前 トゥン
第六章 八月四日 越石
第七章 八月十一日 氷見
第八章 八月十二日 越石
第九章 一日前 八月十一日 トゥン
第十章 八月十六日 越石
第十一章 八月十八日 越石
終章 八月二十五日 越石
感想。
なるほど。
祟り女神、という強烈な個性の女刑事・氷見麻里子の物語。でもどちらかというと、メインで活躍するのは、越石刑事。敏腕女上司に振り回されつつも活躍するメンズ、って感じだろうか。
設定は普通に現代の日本。銃と実弾がセットで盗まれるというおまぬけな事件がひき起こす、無差別な殺害事件・・・。
どんな理由があったとしても、銃と実弾を一緒に移送するなんてあほなことはあり得ないだろう、、とおもうけれど、まぁ、そこはフィクションの世界。そして、少し社会問題っぽく出てくるのが、犯罪の影には、ベトナム人、中国人のグループがでてくるということ。ベトナム人で目次になっている「トゥン」は、日本で稼いでベトナムの家族を幸せにする事を夢見て日本に来た。しかし、技能実習生の過酷な実態に現場を抜け出し、気が付けば犯罪グループの一員に・・・・。そういうベトナム人たちの社会問題が、本作のテーマでもあるように思う。
目次を見ればわかるように、物語はギュッと凝縮された1か月がメイン。序章では、都内各地で頻発する拳銃による事件が次々と紹介される。
以下ネタバレあり。
物語は、序章 事件群 事件9 5月 東京都港区、から始まる。朝の ラッシュアワーの混雑した電車の中。マスクをして咳をした高齢の男性に、腹をたてたサラリーマンが発砲する・・・。
そのマスクだの、咳だの、手で押さえろだの、神経質すぎるだの、、、いかにもコロナ以降に電車で起こりそうな痴話げんか。それが発砲、殺人事件に。。サラリーマンだって、人を殺したいなんて思っていなかった。「お役に立つと思います」というメモと共に届いた拳銃が、まさか本物だとは、、、。この無神経な老人を成敗しなくては、、、、。トリガーをひいた。気が付けば老人は動かなくなり、シャツはみるみる血に染まり・・・。防弾盾を構えた鉄道警備隊が駆けつける。男は、警備隊に射殺された・・・。
事件17、六月、東京都杉並区、勉強や進学を口うるさくいう両親に腹をたてた中学生が、両親を撃つのではなく、自殺。
事件21、七月、東京都渋谷区 松濤。 帰宅した妻とチャイルドシートの娘を舞っていたのは、ガレージに血だらけで横たわる夫の遺体。
と、、、東京都各地で拳銃による事件勃発。
第一章からが、越石たちの活躍。
目次を見ればわかるように、時系列ではないけれどいつの出来事なのかが説明されているので、時間が前後していても、読み手が迷子になることはない。実に、よみやすいプロットだ。
越石は、「警視庁麻布警察署 刑事組織犯罪対策課 強行犯捜査係 巡査部長」で、氷見は、「 警視庁 組織犯罪対策部 薬物銃器対策課 銃器捜査第4係 警部補」。氷見が警視庁からで、越石は麻布警察署からなので、氷見の方が立場は上。
この二人のコンビが、失われた銃と実弾を追う。
銃と実弾が奪われたのは、4月3日。老朽化した警察拳銃を新しい物と交換するために古いものを移送している最中、奪われてしまった・・・とういお粗末事件。140挺の拳銃と1400発の実弾を追う二人。
車載カメラで撮影された強奪の様子から、実行犯は外国人とみられる。日本で暴れている外国人は、かつては軍隊出のマフィアが多かったが、今は、金も、ビザも、健康保険もなく、『だったら、仲間で一緒に…』と気軽に犯罪者化してしまう、、と。そして、多くの日本人は、自分だけ災いを避けながら、政府と警察に全ての責任をおしつけている、、、と。よって、警察の仕事は年々危険になっている、、と。
そして、犯人像をおって聞き込みをしている二人に、「技能実習生の管理団体」を名乗る男から接触がある。男は、西田と名乗った。自分が面倒を見ていたベトナム人が、この事件に巻き込まれている可能性がある、、とのことだった。
そして、そのベトナム人・トゥンの出入りする場所をがさ入れ。
いきなり、銃撃戦・・・・。
と、強奪した拳銃と実弾は、中国マフィアに売る予定だったが、ベトナム人が勝手に都内でばらまいてしまう。そこで、中国マフィアとベトナム人グループの闘争。警察とベトナム人、警察と中国人、、、、。
と、どたばた、どたばた、、、が続く。
昔の刑事ドラマを彷彿させる・・・・。
ってか、今でのTVの刑事ドラマってあるのだろうか。
氷見麻里子役なら、綺麗どころの30~40代女優さんかなぁ、、なんて妄想。
そして、その間にひとつの悲劇が起きる。
なんと、妻の浮気(というか実の兄と関係をもっていた)発覚によって、家庭崩壊状態だった越石家だったが、夫に兄との関係がばれて気落ちしていた妻が、なんとこのばらまき拳銃を手にして自殺してしまうのだ。。。
越石は、やはり妻を愛していた。でも幼い娘が自分の子どもなのか、妻自信もわからないといわれてショックを受けていたため、残された娘とどう向き合っていけばよいかわからなくなっていた。そこに、妻の死。。。
事件の対応もあって、娘はしばらく妹夫婦にあずかってもらうこととする。心底落胆した越石の家へ、氷見が見舞いにやってくる。二人は、気が付けば男女の関係になっていた。
そして、越石と氷見は事件捜査を続ける。
そして、再び犯人と警察の銃撃戦。結局、トゥンをはじめ何人かのベトナム人たちが命を落とす。が、事件は解決するか、、に見えた。
どんでん返しが、、、、。
犯人を取り押さえる現場に一緒にいた西田が、最後にとんでもないことをいいだした。なぜ、この捜査に協力したのかと言えば、、、もともと西田は警察の人間だった。いざこざがあって退職していた。警察に恨みがあった。だから、拳銃移送中の車を襲わせたのは実は西田だったのだ。
それを聞いた越石は、怒りのあまり西田に発砲する。
西田は、現場で死亡。
死人に口なし。
氷見は、西田を撃ったのは犯人たち、というように状況証拠をつくり上げる。氷見は、越石を守るため、証拠偽造。。。
そして、事件はひと段落。
越石は、やはり娘の笑顔が自分の宝物だと気づき、娘に会いに妹夫婦の家へ向かう。新幹線に乗る越石を品川駅に送り届ける氷見。妹は、娘は『パパに会いたい』って、泣いているという。越石は、もう、親子関係のDNA鑑定など必要ないと思った。
そして、笑顔で娘との再会。
THE END
強烈なキャラの氷見は、すごい情報網をもっているのだが、実はそれは後輩の女子たちによる情報提供だということが物語の中で明かされる。冷血で祟り女神といわれる氷見は、後輩女子たちの面倒をみることを惜しまない。それが後輩からの人望となり、情報網となっていた。
また、捜査の途中で、めっちゃ嫌な奴キャラな刑事がでてくる。人の話に首を突っ込んで、かき回し、挙句の果てに成果だけは自分のものにしようとする。ずうずぅしいにも程がある、、という感じの人物。そして、その人物は、おとり捜査と称して犯人に近づいて、あっさり殺されちゃう。中国マフィアに骨まで溶かされちゃう。。。怖い怖い。。。
とまぁ、いわゆる刑事もの。
時間つぶしにたのしめる、かな。
しかし、なんで、『ブリザード・フラワー』というタイトル何だろう???よくわからなかった。。。。blizzard?吹雪の花?氷見のこと?読み逃したかな、、、。ま、いっか。
気晴らしに、こういう本もいい。
