オペラ 『ウィリアム・テル』GuillaumeTell
新国立劇場のオペラ、ガラを観に行った。
ロッシーニの生涯最後の作品、新国立劇場の新作。
チラシには、
” スイスに自由を取り戻せ!
グランド・オペラの扉を開いたロッシーニ 最大の傑作、
日本初の原語・舞台上演!”
とある。
原作: フリードリヒ・シラー
台本: ビクトル= ジョセフ= エティエンヌ・ド・ジュイ、 リポリート=ルイ= フローラン・ビス
作曲: ジョアキーニ・ロッシーニ Gioachino Rossini
指揮: 大野和士
演出・ 美術・ 衣装:ヤニス・コッコス
今回は、1階席と、3階席のチケットがあったので、休憩時間に席を変えて、交替で見たのだが、音の響きはやっぱり違う。そして、3階席からだとオーケストラの様子がよく見える。どっちが好きかは、人によって違うだろう。でも、3階の横側の席だったので、舞台全体を見渡しにくい点が横席の難点。一方で一階席は、もちろん舞台はとても見やすい。ただ、比較的横の席だったので、字幕を追うのがちょっと大変、、、って感じかな。でも、やっぱり、オペラは音楽を聴いているだけで楽しい。だいたい、字幕はだいぶ簡略化されているし・・。
さて、ウィリアム・テル。知っているのは、頭の上の林檎を弓矢で射ったという伝説だけで、、、、お話の内容は、よく知らなかった。
舞台は、スイス。14世紀初頭。 ハプスブルク家がヨーロッパで勢力を持っていた時代。そして、スイスのウーリ州では、3つの村が権力者に制圧され、自由をうしなってしまい、そこへ立ち上がった人々の話。
詳細は、新国立劇場のHPにて・・・。
今回は、第一幕 休憩 第二幕 休憩 第三幕、第四幕 と、およそ5時間に及ぶ舞台。
14:00に開演し、終わったのは、19時前だった。
そして、珍しいことに、、、本番2日前だというのに、まだ舞台として完成していない感じがありありと、、、。なんでも、会員向けの事前トークイベントも、キャンセルだったらしい。今回は、大野さん(指揮者)の挨拶なく、いっぱいいっぱいな感じが、、、否めなかった。第三幕と第四幕の間でも、指揮者と舞台関係者とがあれこれ声を掛け合っている時間が・・・。
主人公のウィリアム・テルを演じたのは、アルバニア出身のゲジム・ミシュケタ。大柄で力強いバリトン。迫力満点。
ハプスブルク皇女マティルドを演じたのはオルガ・ペレチャッコ。オペラリア・コンクールに優勝して国際舞台に躍り出し、説得力ある声と抜群の存在感によってメトロポリタン歌劇場、英国ロイヤルオペラ、ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場、ベルリン州立歌劇場、テアトロ・レアル、リセウ大劇場、パリ・オペラ座、ザルツブルク音楽祭、エクサン・プロヴァンス音楽祭など世界の主要歌劇場、音楽祭で活躍、という。すごい、声量だった。かっこいい、、、と思わず思ってしまうソプラノ。
テルの息子ジェミを演じたのは、ソプラノ歌手の安井陽子さん。男の子のかっこうをしていて、小柄で、、、でも歌い始めたらソプラノで、、、ちょっと驚いた。でも、素敵なソプラノ。また、お父さん役のゲジム・ミシュケタに抱きしめられると、本当に小さな子供みたいな身長の差で、思わず、ちっちゃっ!かわいい・・・・って感じ。
私は、オペラ歌手には詳しくないけれど、安井さんの歌は好きだなぁ。
今回、一緒に鑑賞した仲間のひとりに声楽出身の若い女性がいて、彼女によると、オルガ・ペレチャッコの体形は、まさにソプラノ歌手向けで、肋骨が分厚く鍛えらえているのだそうだ。日本人には、なかなか、、、と。持って生まれた体形として、日本人はやはりハンディがあるのかな。やはり、身体は大きいほうが音が響くので、よい声になりがちなそうだ。
今回、チケットを提供してくださった新国立劇場オペラファンの男性は、この演出はイマイチだ、、、と、、本舞台のときにはブーイングしちゃうかも、、と言っていた。
お話が、いわゆる紛争と身分違い恋愛という、ちょっと暗い?テーマなこともあり、衣装が地味・・・・。ゲネだというのに、オーケストラの人たちはなぜか正装。舞台装置や踊りは、やや意味不明という点も多くて、たしかに、、、、ちょっと微妙な演出ではあった。
モダンってことなんだろうか。
初めて、ウィリアム・テルのお話の全容を知ることができたので、その点では 楽しかったし 貴重な機会となった。
だいたい、テルは、息子の頭の上の林檎を射るようにと、権力者のジェスレル総督
(妻屋秀和さん)に命じられて、やむを得ずに息子を立たせ、矢を射るのだ。そうか、そういう話だったのか、、、。お祭りとかで、華やかな場面で自分の弓矢の腕を誇るためにやってみせた見世物のようなシーンではなかったのだ。
皇女マティルドは、その場面で、やはり総督にとらえられてしまうテルと息子のジェミを助け出そうとするのだが、テルはとらえられてしまい、ジェミだけがかろうじて救われる。
と、そんな風に活躍したマティルドなのだが、第四幕、総督らから逃げ出して自分の村に帰り着いたテルが、追いかけてきた総督を弓矢で倒し、村中が勝利にの歓喜にわくなか、一人、寂しく、、、森の中に消えていく、、、、。アルノルド(村の長老の息子でマティルドと道ならぬ恋をしていた)との抱擁もなく。。。あらすじ紹介には、「再開を果たす」とあるのだけれど、、、
最後に村人たちの歓びが、大合唱で盛り上がって幕が閉まるのだが、あれ?マティルドとアルノルドの恋は???
とまぁ、、、ちょっと、ハテナ???が残る演出だった。
第四幕最後の大合唱は、さすが!!新国立劇場!という感じで圧巻。ただ、スタンディングオベーション、という感じではなかった・・・。
う~ん、これは、原作の戯曲を読んでみないといけないかな?
クラシックなバレエは期待できないけれど、音楽を楽しむだけなら?!たぶん、最高の曲だと思う。なんたって、有名な「序曲」は、だれもがきいたことあるはず。運動会とか、、、。
オペラも色々あるけれど、私は、オーソドックスでクラシック、トラディショナルな方が好きかな・・・。
今回の講演は、
2024年11月20日、23日、26日、28日、30日。
S席 31,900円 から。
観た人の感想を聞いてみたい。。。
ちなみに、YouTubeだと、様々なウィリアム・テルのオペラも見ることができる(原語)けれど、やはり、今回の演出よりは華やかな様子・・・。
舞台は、同じストーリーでも演出でバラエティーが無限に増えるということがわかる。
ついでに言えば、公演中もLIVEなので毎回違ったものになるわけだし、観客によっても印象が変わる。
舞台は、深い・・・だから、楽しい。