『本物の英語力』 by  鳥飼玖美子

本物の英語力
鳥飼玖美子
講談社現代新書
2016年2月20日第1刷発行

 

図書館の新書コーナーで見つけたので借りてみた。鳥飼玖美子さんといえば 、NHK の英会話番組で長く講師をされていた方。お話が楽しいのと、彼女の声のトーンが好きで、昔よくNHKラジオ第二放送で聞いていた。 かれこれ、20年位前だろうか??忘れてしまった。

本書のタイトルは、「英語力」なので、必ずしも「英会話」ではない。ビジネスマンにとっては、英会話よりビジネス英文メールを書く機会の方が多い人もたくさんいらっしゃるだろう。そういう人には、仕事で使うのに必要な「英語力」を必要に応じて養うことを薦めていらっしゃる。

 

目次
第一部 英語は基礎力  発話、語彙、コンテクスト、文法
第1講 「なんで英語やるの?」
第2講 「発音」は基本をおさえる
第3講 先立つものは「語彙」
第4講 「コンテクスト」がすべてを決める
第5講 話すためにこそ文法

第二部 英語の学習法 訳す、スキル、試験、デジタル、そして映画
第6講 訳すことの効用
第7講 英語はスキルか内容か 
第8講 英語力試験にめげない、振り回されない
第9講 デジタルと英語教育
第10講 映画で英語
第11講 長崎通詞の英会話取得法

第三部 英語の実践 語学研修、留学、仕事 
第12講 英語を書く
第13講 語学研修と留学
第14講 仕事に使える英語
第15講 英語学習は未知との格闘

 

最初に、「英語格差」(English devide) と言う言葉がでてくる。ネットが使える人と使いこなせない人との間の情報格差のように、英語が使えるか、使えないかによって生じる格差、ということ。
鳥飼さんは、なんと嫌な言葉か、といいつつも、現実を映した言葉であるという。
確かに、グローバル企業では、英語ができるかできないかで就けるポジションが変わってくる。海外赴任するのにマネジメントスキルはすごいけれど英語あるいは現地語はまったくできない、、、では、話にならない。
かといって、言葉だけ流暢でも中身がなければ仕方がないのだけれど、、、。
現実問題、英語ができるにこしたことはない。

 

英語格差、で自分の可能性を狭めないためにはどうするればいいか。答えは一つ。英語を勉強すればいい。自分に必要な勉強をすればいい。
これまでも何度も挑戦したけれど挫折した、だめだった、と言う人は、勉強のやり方がまちがっているだけで、正しい勉強方法でやれば、だれでも必ず英語は学習できる、と。
なんと、心強いお言葉。

 

英語は、楽しく学ぶに限る、と。


・自分が主体的に使える英語、「私の英語」をめざす。
・興味のある内容で、英語を学ぶ。

この二つを忘れずに取り組めば、きっと英語学習はたのしくなり、英語格差をなくすことができるのだ、と。

 

第3講 先立つものは「語彙」、というのも、納得がいく。
仕事で英語を使うには、8000語は必要だと言われている。何かの問題について議論するなら1万語は欲しいところだ、と。
いったい、自分の語彙が何個あるのかなんて、数えたことがない。。。アルクの出しているボキャブラリーの本ならVol.1~4で、各3000語ずつでトータル12000語。やはり、ボキャブラリーの本を制覇するべきなのか、、、、。
ちなみに、英語母語者の語彙サイズは2万語くらいだそうだ。
鳥飼さんは、語彙力を増やすには沢山読むのがよいという。精読(Intensive reading)が大事なこともあるけれど、語彙をふやすなら、多読(extensive reading)。多読するにはそれなりの時間が必要なので、速読(speed reading)スキミング(skiming)スキャニング(scaning)のスキルも重要だと。

スキミング、スキャニングは、日本語の速読法でも取り入れられているスキル。スキミングは、ざっと大意を掴むこと。スキャニングは、ななめ読みで必要な情報を探し出すこと。

どっちも、かつて、英語でもやってみようと思ったけれど、今の私にはまだまだ、、、、という感じだった。

でもTOEICや英検のreadingテストの時にも、やはりスキミング、スキャニングのスキルは必要なので、ずっとやっていると、少しづつ身につく気がする。

 

語彙力のつけ方で多読以外には、自分専用用語集を作ることを進めていらっしゃる。
これは、専門用語でもそう。
わからない単語が出てきたら、文例とあわせて用語集にしていく。
私は、手のひらサイズのノートを使ったり、自宅では100均の白い紙でフラッシュカードを作っている。わざわざ表と裏に書くことはせず、たんにメモ用紙としてつかっているので正確にはフラッシュカードとはちょっと違うけれど。

 

個人的経験からすると、結局、同じ言葉にどれくらいくり返し出会うかが、その言葉を記憶できるかどうかのポイントのような気がする。日本語でもそう。ちょっと難しい熟語が、別の文脈で何度かでてくると、記憶に残りやすい。

やっぱり、語彙力は大事なのだ。
単に、『でる単』を覚える、ということではなく、同じ言葉がさまざま場面で使わているのに出会うのが一番。たくさん、読もう!と思う。

 

そして、やはり、文法も大事だと。
正しく何かを伝えるのには、文法をただしく使える必要があるし、文法がわかっていると長文でも主語と述語が見つけやすくなる。

言うまでもなく、英語の基本は5文型。もう一度、それを頭に叩き込もう。

自分の興味のあることで英語を勉強する、という話が冒頭にあったけれど、映画などで勉強するときは、選ぶ映画に気を付けたほうがいい、、と。
日本のやくざ映画で一生懸命に日本語を勉強した外国人のひとが、
「How do you do?」

「おひけえなすって」と挨拶してしまった、、、という笑い話が。。。。

 

あと、ディズニーの「アナと雪の女王」の「Let it go」は、本当は、「ありのまま」という訳ではないのだけれど、「ありのまま」とすると歌詞のおさまりがよかったので、そうしただけ、、、だそうだ。たしかに、
「Let it go」

いつまでも腹を立てていても「しょうがない」「放っておけ」そんな悩みは「わすれちゃえ」のニュアンスだった、と。
そういわれれば、そうだ。。。

 

最後に、言葉とは生涯かけて学ぶものであり、自分で主体的に学び続ける姿勢があるかどうかが、英語学習の成否を決めるのだ、とおっしゃっている。
たしかに。
ほんとに、そうだ。

自分は英語をつかって何をしたいのか。それが一番大事なのだろう。
言葉はコミュニケーションの道具でしかない
でも、その道具が使いこなせないと、本来伝わるべきことが伝わらない。
だから、通訳という仕事もあるわけだ。

 

たかが語学。

されど語学。

 

「英語格差」で残念な思いをしないためにも、自分がどういう状況で英語を必要とするのか、どんな英語を身につけたいのか、自主的に考えて、主体的に学び続けよう。

 

前にも書いたけれど、通訳は、体力が続いて、聴力・活舌さえ悪くならなければ、何歳でも仕事はできるそうだ。

人生100年時代。

50を過ぎてから目指すキャリアの選択肢にあっていい。

 

英語で本を読めるようになれば、世界はもっと広がる。

やっぱり、英語、勉強し続けようと思う。

 

主体的に学び続けよう!

がんばるぞー!!

 

本物の英語力