『脳の毒を出す食事』 by  白澤卓二(医学博士)

脳の毒を出す食事
白澤卓二(医学博士) 著
小野真規子(料理研究家・栄養士) 料理
ダイヤモンド社
2021年1月26日 第1刷発行

 

Facebook の広告で出てきた。栄養とか食事とか、そういったカテゴリーの話が好きなので出てきたのだろうと思う。まぁ要するにこれに関した講座の広告だった。時間を割いて講座に出るつもりはないけれど本ぐらい読んでみるか、、という事でポチってみた。無料の講座だけど、結局有料講座への入り口ビジネス。引っ掛かる前に、本で確認。

 

まあ派手な表紙。
帯には、
”世界最先端治療を実践する脳のカリスマが農と食の密接な関係を明らかにする!
認知症
うつ病
肥満
原因不明の不調
糖尿病
高血圧症
コレステロール血症
認知症の革命的治療「リコード法」対応
普段の食事を変えるだけで、脳がみるみるよみがえる!
脳が浄化され、全身の機能が上がる!
様々な病気の予防・改善に効果!
「究極の健康体」になる7日間実践レシピ付き”

とまぁ、よくこれだけ並べ立てるわ、、、、という感じだ。

 

帯のうしろには、「はじめに」からの引用が。

”残念ながら現代人の脳には、「毒」が溜まっています。
それは脳内を撮影した画像を見れば
わかるほど明らかな事実です。
そして脳に溜まった毒は、
すぐに病気に発展しないまでも、
脳が本来の力を発揮しにくい状態を作っています。” 

だそうだ。

 

感想。
よー-いうわぁ、、、。
医学博士でしょ????
よー--いうわぁ、、、。
って感じ。
多分、正しいこともあるのだと思う。
けど、やたら不安を煽っている感じが、、、そして、7日間の食事で健康な体になれるわけなかろが!!!と、突っ込みたくなる。
もちろん、7日間の食事で健康になれると書いているわけではないのだけれど、ただ「健康レシピ」とかしておけばいいものを、、、、とか思ってしまう。

 

1400円(税別)
ま、話のネタには面白い。


そして、これを読んで、体に悪いものは控えておこう、、と言う気持ちになるのも正しいのだろう。


私だって、食事に気を付けよう、、、という気にはなった。読んだ、、一瞬は。。。
だいたい、レシピとかいてあるけれど、これを「レシピ」というんかい!!という突っ込みもしたくなる。

 

例えば、

「玄米おにぎり」
材料(2人分):玄米ごはん・・・100g
作り方:玄米ごはんを二等分して、おにぎりにする。

以上。。。。
え??
ん??
たしかに、材料が書いてあって、作り方が書いてある、、、、
でも、、、え???、、、
ま、いいけどね。
玄米が体にいいっていいたいのね、、、

でも、本当は玄米は消化も良くないし、胚芽を含むために無農薬でないと農薬を摂取することになるし、、だれでも玄米食がいいってもんでもないと思う。

ちなみに、私は玄米は、食べるなら自分で発芽米にしてから圧力なべで炊く。夏場なら、2日位水につけておくと、発芽する。玄米って生きてるんだぁ、、、って思うし、芽ってかわいい。

 

本書による「脳の毒を出す食事 7つのルール
1 一日一回「毒だし小皿」を食べる
2 主食は「かさ増し玄米」に変える
3 油脂と調味料を厳選する
4 魚は小型~中型の天然モノを選ぶ
5 肉・加工品は産地と原料を精査する
6 色の濃い野菜をたっぷり食べる
7 よく噛んで食べる

だそうだ。
私なら、「7 よく噛んで食べる」を薦めるかなぁ。

 

たしかに、体に悪そうなジャンクフード、保存料だらけの加工食品は、取りすぎれば良くないだろうけれど、かといって、毎日「玄米」なんてつまらない。。。

と、なんだか、出だしから突っ込みたくなること満載で、かなり、批判的な眼で読みつつ、読了。

 

一応、農学博士・健康管理士一般指導員の立場から、これは、理にかなっている、とおもったことだけ、覚書。

 

アルツハイマー病は、脳が防御反応として脳にアミロイドβを蓄積する。増えすぎると、認知機能が低下する。つまり、防御反応としては正常ということ。防御しなくてはいけないような環境になれば、過剰に蓄積してしまう。

 

・食事で気を付けるべき毒。
 加工食品の添加物 (保存料だけでなく、防虫剤・防かび剤なども)

 

サプリメントも添加物である。目的とする栄養素をサプリメントに加工するためのカプセル剤、賦形剤。もちろん、安全であるものが使用されているけれど、サプリメントで摂取しなければ、体に入れなくてよい物質であるという点では、余計なもの。

 

全ての毒素は、肝臓・腎臓で解毒されるしかない。解毒しきれなければ、体内にたまっていく。。。。そして、解毒しても尿や便で体の外に出さないと、、、これまたたまっていく、、、トイレに行くって、大切!!

 

卵は「平飼い」が一番。ケージに閉じこめられた鶏が生む卵より、「平飼い」の卵は確かに美味しい。ケージの鶏は病気にならないように抗生剤を使用されていることが多いので、卵にも抗生剤が含まれる。
10個で1000円したって、毎日10個食べるわけではないと思えば、プチ贅沢。スーパーにあればいいけど、、、手に入れにくいのが玉にキズ。

 

脳の毒は、食べ物で出せる! って、脳だけではない。人間の身体は食べたものでしかできない。しかも、年を取ったって、一応新陳代謝というものがあるので、体の組織は必ず入れ替わる。毒でないものを取れば、いずれは入れ替わる。ちなみに、一番組織再生速度が遅いと言われている骨でも、1年くらいでは入れ替わる。今日の食事は、来年の自分の身体をつくるのだ。皮膚、筋肉ならもっと早い。

 

・毒だし習慣
 食前の「レモン&しょうが水」。果汁で売っているレモンではなく、しぼりたての、酵素が失活していないレモンレモンの酵素が肝臓の機能を高める。しょうがは、血管を広げて血流をよくする。解毒&血流UPで、、、たしかに、すっきりしそうな気がする。


最後に、さきほどの「玄米おにぎり」を含む、レシピ集がある。あまり、、、美味しそうと思えるものは、、、ない。

「さば缶とごぼうのみそそぼろ」は、ちょっとやってみてもいいかな。
さば缶は、健康食材としてよく知られている。脂肪酸だけでなく、ビタミンB6,B12なども豊富だし、安い。そのさば缶とささがきにしたごぼうをごま油で炒めて、味噌と甘酒で味付けをする。ま、ちょっと美味しそう。今度作ってみよう。

材料:
さば水煮缶 2缶(水を切って300g)
ごま油 大さじ1
ごぼう 1/2本 (50g)
みそ 大さじ2
甘酒 大さじ4

まぁ、甘酒を大さじ4だけ用意するなんて面倒だから、三温糖とみりんを適当に使えばいいと思う。最後に、七味とかかけても酒のあてにいいかも。。。

 

と、そういえば、お酒については、
「一日にグラス2杯までの赤ワイン」がおすすめ、と書いてある。
糖質が多いビール、日本酒、紹興酒、梅酒などは避けるべき、と。糖質を含まない焼酎、ウイスキー、ジンなどの蒸留酒のほうがいいと。
これも、、、ねぇ、、、いかがなものか。


お酒なんて嗜好品。自分が美味しいと思うものを飲みすぎない、それでいいと思う

食事でいえば、過剰摂取してしまえばどんなものだって毒だ。要するに、肝臓・腎臓で処理できない量を摂取してしまうことで、なんでも体に負担になる。塩だって、絶対に体に必要だけど、取りすぎればよろしくない。おんなじことだ。

 

時々、健康のための絶食のすすめ、、みたいのがあるけれど、食べすぎの現代人は、何を食べるかを気にするかより、何を取らないか、、を考えるのが大事なんだと思う。

美味しくない「毒だしレシピ」を実践するより、食べ過ぎた、、と思ったら、食べるのを控える。それが一番安上がり。 

 

色々な健康神話があるけれど、大事なのは自分の身体の声をちゃんと聞くこと。

どうしても過剰に甘いものやアルコールを欲してしまうのだとすれば、それは、身体ではなく心が欲している。心のストレスが原因だ。

 

自分の身体に耳をすませよう。

美味しくないと思って食べるものは、たとえ健康に良いと言われていたとしても、心の健康に良くない。

体が喜ぶ美味しいものを食べよう。

それには、自分の身体の声を聞こう。