企画展 楽しい隠遁生活 @泉屋博古館東京

先日、とある勉強会の仲間と、泉屋博古館東京の企画展に行ってきた。

 

企画展 楽しい隠遁生活 ―文人たちのマインドフルネス
開催期間  2023.09.02土2023.10.15日
開催場所  泉屋博古館東京(東京・六本木)

 

タイトルがいい。楽しい隠遁生活!である。前回、泉屋博古館東京に行ったときに、この秋の企画チラシを見て、見にくるぞ、って思っていたら、幹事の方が企画してくださった。今回は、館長さんの夕焼けトーク「詳しすぎる作品解説」を聞いてからの鑑賞会。

 

館長さんの夕焼けトークは、無料だけれど、人気なので、当日朝11時より整理券配付・再入場可ということ。

 

館長さんの夕焼けトークで、隠遁モードが高まる。1時間を超える館長さんのお話だったけれど、作品のスライドをみながらの作品愛にあふれるお話は、楽しくてあっという間だった。鑑賞前に、スライドで絵画の拡大箇所を説明していただけて、あとから現物をみると、あ!ほんとだ、こんなところにも人が!とか、あ、こんなくつろいだかっこしてる!とか。また、作品の展示方法の楽しいアイディアも、あらかじめお話を聞いていると、ふむふむなるほど!これは、面白い!楽しい!って、展示品を何倍も楽しめる。

 

文人たちのマインドフルネスと題された今回の企画展は、山水画、田舎暮らしのスローライフ?!、茶器、筆や硯などの文房具、が楽しめる。あぁ、隠遁したい、、、という気になってくる。

 

山があって、川があって、緑があって、風吹く田舎のあずまや。そこで、一日読書して、絵でも描いて暮らしたら、どれだけ楽しいことか。そして、絵の中では、そこには時々、友が訪れてくるのだ。そして、お酒を楽しむ姿も。ご一緒していた人生の大先輩の方も、「そしてやっぱり、酒でしょう」とおっしゃっていた。これから、歌でも吟じようかというていで巻紙と筆をもって、肩肘ついて横になっている文人の姿。お酒に酔ったのか、お腹をだしている寝ている姿。花瓶に生けたお花を穏やかな表情で見つめる文人。黙って瀧の側にたたずむ二人。。。。どの作品も、あぁ、、、こういう世界いいなぁ、、、ってあこがれちゃう。

 

なかには、岸田劉生の作品もある。晩年に、それこそ隠遁にちかい生活に入ろうかという頃の作品。絵手紙みたいな作品で、絵と文字が楽し気。そうか、岸田劉生というと『麗子』があまりに有名だけれど、こんなにほんわか可愛らしい絵もかいていたんだ、って感じ。

 

隠遁生活、それは、安らぎと自由の追求。昔の人たちも、政治や社会のしがらみから逃れ、清廉な生活にあこがれたのだ、と。そして、いますぐにそれが実行できない自分を慰めるため、展示されている作品のような山水図を部屋に飾ったのだと。せめて、絵をみることで隠遁生活への憧れをみたしていたのだろうって。

 

作品をじっくり見ていると、あっという間に時間がたってしまった。いいなぁ、という隠遁生活への憧れの気持ちと、まだまだ俗世界での楽しみも捨てられないなぁ、、という気持ちと。

 

コンパクトな空間で、静かに鑑賞できる、泉屋博古館東京大人1000円。インフレの昨今、1000円で別世界へ没入できるのなら安いものだ。六本木一丁目駅から、泉ガーデンタワー横のエスカレーターで上っていくと、ほとんど歩くことなくたどり着ける。今回も、となりのHARIOカフェによる時間はなかったけれど、いつか、贅沢にHARIOカフェでコーヒーを飲んでみよう。。。

 

隠遁生活に欠かせないもの。それは、やっぱり、時々おとずれるなのかもしれない。

と、鑑賞会の後に懇親会をしながら思った。「いいね」って言葉を交わせる相手がいるというのは、やはり幸せなことなのだ。

 

隠遁生活、いつから始めようかな・・・・。

山と川と緑に囲まれて、、、静かに暮らしてみたい。

 

ちなみに、会場内には、『隠遁生活の手引書』という資料が置かれていた。そこには、7冊の本が紹介されていた。『中国の隠遁思想 陶淵明の心の軌跡』、『シベリアの森の中で』などなど。。。いつか読んでみたいものだ。絵の中の主人公の生きざまがもっとリアルに感じられるかもしれない。

 

ちなみに、作品につけられた展示用タイトルも楽しいので楽しめる。

リア充〇〇”とか。。。館長さんの言葉なのかな?って楽しめるので、作品以外のそんな小技もお楽しみ有れ。

 

10月15日まで開催中。