安宅コレクション名品選101 に行ってきた

安宅コレクション名品選101

 

泉屋博古館東京で開催中の「安宅コレクション名品選101」に行ってきた。
大阪市立東洋陶磁美術館のコレクションからの展示。

 

安宅コレクションは、安宅産業株式会社の会長であった安宅英一(あたかえいいち)さん(1901-1994)が会社の事業の一環として1951年から25年かけて収拾した名品の品々。戦後のこの時期、美術品収集が盛んだったのだろう。国立西洋美術館の「松方コレクション」を舞台にした原田マハさんの作品、『美しき愚かものたちのタブロー』おもいだす。美しいものを求める人の熱意は、絵画も陶器も同じだ。

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展示会の中には、安宅氏が他の収集家から「譲渡不可」と言われた作品について、いかに熱心に口説き続けたか、という逸話も書かれていた。なんでも、「不可」と言われた手紙を掛け軸にして床の間に飾り、本人を自宅に招いて、是非ともお譲りいただきたい、、と畳に額をこすったとか。。ちょっと、ぷっとわらっちゃった。心の中で、ぷってわらっていたら、後ろのおばちゃんが、「はっはっは」って声をあげて笑っていた・・・・。おばちゃん、さすが。。。。

 

安宅氏は、961件もの品を集めたが、安宅産業の経営破綻でコレクションは散逸の危機をむかえる。それをすくったのが、住友グループだった。

今回は、安宅コレクションの中から国宝2点、重要文化財11点を含む101点の展示。ということで、企画名に101がはいっているようだ。

 

東銀座のジムでひと汗かいた後、そうだ、連休前に行っておこうとおもって日比谷線で神谷町まで。スウェーデン大使館横の坂道を登りつつ、徒歩で10分くらいだろうか。坂を登りきると、目の前に泉屋博古館東京が現れる。緑に囲まれた泉ガーデンタワーの手前の小さな建物。ホットできる空間。

 

友人から招待券を戴いていたので、そのまま受付へ。

 

右手に展示場。大きな荷物は、鍵付きのロッカーへ。無料のロッカー、ありがたい。中に入ると、広すぎない空間の壁沿いに展示品が並ぶ。ガラスの向こうに陶器が輝く。最初に迎えてくれたのは、ふくよかでなんだか可愛らしい女の人の立像のような陶器。この作品は、壁沿いとは別に、独立したガラスケースの中におさめられていた。なんとも、、、可愛い。写真撮影OKとのことだったので、思わず、写真におさめてしまった。

加彩 婦女俑

 

ガラスケースの下の方に、音声ガイド用とおぼしきヘッドフォンマークと番号がある。あれ?音声ガイドはうってなかったぞ?と思って受付にもどって聞いてみると、専用のガイドがあるのではなく、「ミュージアム展示ガイド ポケット学芸員」というアプリから聞くことができるのだと。無料で聞けるならと思って、アプリをダウンロードして、展示場に戻った。

よし、聞くぞ!とおもって再生ボタンを押すと、、、、なんと、展示室の中はWiFiが届いていない・・・。無念。
でも、要するに、その会場にいなくても、アプリからはいつでも聞けるということ。なかなか面白いアプリがあるもんだ。一つ勉強になった。ただし、アプリに登録されているのは、大手博物館、美術館ではなく、結構マニアックだけど、、、。

出品目録に、ポケット学芸員の番号も記載されているので、帰宅してからゆっくり復習する事ができる。悪くない。

 

国宝の作品は、油滴天目茶碗(吉州窯 南宋時代 12~13世紀)と 青磁花生(龍泉窯 元時代 14世紀)。
どちらも、、、美しい。

油滴天目茶碗(吉州窯 南宋時代 12~13世紀)

 

青磁花生(龍泉窯 元時代 14世紀)

 

青磁は、釉上にわざと鉄斑を散らした青磁で、鉄の部分が茶色くなるようにしている。まるで、ちょうちょが飛んでいるみたい。この品は、形も美しい。なんとも下膨れ感が美しいではないか。スラっとしすぎていない。ちょっぴり、ぽってり。。。それが360度、どこからでも見られるようになっていて、この作品は、長々と見つめてしまった。かわいいなぁ。

 

残念なのは、全ての作品が、テグスでしばられていることかなぁ、、、、、。そりゃ、借り物だし、割れたら大変なのはわかるけれど、、、やっぱり、テグスは邪魔だ、、、、。作品も苦しそうだし。。。こんなことするの、日本くらいだよなぁ、、、。ま、地震大国だから、仕方がないか。陶器やガラスは、割れてしまうものだからその儚さがいいのになぁ。。。なんて、自分のものではないからそう言えるのか。

 

中国、韓国、それぞれの青磁白磁も色々あったのだが、よくもこんな何百年もまえのものが、この美しい姿でのこっているよなぁ、、、と思う。直径50cmは越すだろうという大皿も、一切のゆがみなく、模様も美しく、高度な技術があったことは間違いない。

 

先日、知り合いの陶芸家のところで、手練りで花瓶をつくってきたのだが、、、はたしてどれほど歪んで出来上がることか・・・・。ま、それが自然でいいともいう。

 

自然と言えば、安宅さんが「げんこつ」と呼んでいたという、左右非対称の黒いゴロンとした黒釉扁壺(こくゆうへんこ)が飾られていた。わざと非対称にしたのか、そうなっちゃたのかわからないけど、なかなか、愛嬌があっていいな、って感じだった。朝鮮時代、15~16世紀の作品とのこと。

 

朝鮮の焼き物と言えば、先日読んだ、『韃靼の馬』(辻原登)を思い出す。

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展示会場にあった窯の地図をみると、ほんとに各地にたくさんの窯があったのだということがわかる。韓国の南なんて、ほんと日本とすぐそばだ。日本の窯の地図もあったけれど、全部はしらないなぁ、、、と思った。有田焼、波佐見焼、九州の陶器は、やっぱり大陸からきたんだなぁ、と思う。対馬を経由したのかもしれない。

 

器のことはよくわからない。でも、美しいものは美しい。比較的すいていたので、最初に全体をば~~っとみて、それから、好きな作品に戻ってじっくり見た。周りのお客さんは高齢者が多かったなぁ。。。平日の昼だからか。

 

こじんまりとして、いい感じの泉屋博古館東京。カフェも併設されていた。今度は、カフェでゆっくりしてみようかな。ま、ちらりと覗いたらコーヒーが800円したので、やめたんだけどね。。。

 

久しぶりに目の保養。

行ってよかった。

白磁が好きかな。

でも、青磁も美しい。

 

最後にもう一個だけ、とってもかわいかった青磁を。

青磁彫刻 童女形水滴 高麗時代 12世紀

欲しくなっちゃう。