『新版 科学がつきとめた「運のいい人」』 by 中野信子

新版 科学がつきとめた「運のいい人」
中野信子
サンマーク出版
2023年9月10日 初版発行
2023年10月30日 第7刷発行
*本書は小社で単行本(2013年2月)、および文庫本(2019年5月)で刊行された『科学がつきとめた「運のいい人」』を加筆、再編集したものです。

 

中野さんの2013年の本の新版。本屋さんでみかけたけれど、手にしなかった。興味はあるけど、私、すでに「運のいい人」だし、、、って。。。。最近、姉が購入したというので、借りて読んでみた。

帯には、中野さんの顔写真と、「運は100%自分次第」との文字が並ぶ。

 

”運がずっといい人」には科学的根拠があります!
日本・最注目の脳科学者がつきとめた
運のいい人だけがやっている思考と行動

運がいいと思っている人も悪いと思っている人も、遭遇している事象は似ている場合が多いです。その事象に対するとらえ方、考え方が違う。対処の方法も違う。長い年月を積み重ねれば、おのずと結果は大きく変わってくるでしょう。”

 

表紙の裏には、
”どうしたら運はよくなるのでしょうか?
どういう人が運を味方にできるのでしょうか?
これに、できるだけ科学的にアプローチしたのがこの本です”
とある。

 

目次
新版に寄せて
プロローグ  運のいい人ってどんな人?
第1章 運のいい人は世界の中心に自分をすえる
第2章 運のいい人は「自分は運がいい」と決め込む
第3章 運のいい人は「他人と共に生きること」を目指す
第4章 運のいい人は目標や夢を「自分なりのしあわせのものさし」で決める
第5章 運のいい人は祈る
エピローグ

 

感想。
そうそう、そうなんだよね。これを科学的アプローチっていうのかね?と思わなくもないけれど、セロトニンドーパミンノルアドレナリンなど、脳に存在する神経伝達物質の影響で説明されているので、科学的、、、ってことなんだろう。でも、あくまでも、それが運につながっているというのは仮説にすぎない。だって、「運」そのものを数値的に定義する事なんてできないもの。。。。

 

私は、自分は「運がいい」と思っている。でも、私をみて「運が悪い人」と思っている人もいるかもしれない。そもそも、「運がいい」かどうかというのも、結構主観的だと思う。

 

道で1000円拾うことを、運がいいというか?
難関大学に合格したのを、運がいいというか?
美味しいレストランにであったことを、運がいいというか?
究極、宝くじで3億円あたったら、運がいいというか?

 

わたしは、どれも答えは人によって違うと思う。私は、宝くじで3億あたったらうれしいとはおもうだろうけれど、そもそも宝くじという運だめしはしない。そんな運を求めていない。1000円を拾うことも求めていない。難関大学に入ったからといって幸せになれるわけではないことを知っている。美味しいレストランにであったら、運がいい!とは思う。けど、「美味しい」と感じるかどうかも、主観的だ。予約の取れないレストランだからといって、私にとって「美味しいレストラン」だとは限らない。事実、がっかりレストランも結構ある。


と、その上で、やっぱり、「運がいい」ほうが、人生たのしそうだ。運がよくなりたい、っておもうのは普通のことだろう。そして、目次を見ればわかるように、結局のところ、運のいい人は自分で〇〇しているのである。

 

本書で中野さんがいっていることには、おおむね共感。ただ、「自分を変えるより、今の自分を生かせ」というのは、ちょっと違うかなぁ、と思う。

やっぱり、自分の変化を楽しめるというのが、「運がいい」人になる一つのような気がする。

 

中野さんは、「運のよしあしは、科学的にみればもともとその人がもっているというよりも、その人の行動パターンによって決まると考えるべきでしょう」といっている。そして、運のいい人の側にいると、その行動パターンが似てきて、「運を呼び込む」ことができるのだと。その仕組みとして、ミラーニューロンの働きの説明がある。他の人の動きを見た時に、自分は同じように動いていなくても、動いたときに活性化する脳内の細胞が活性化するということ。鏡のように、相手の動きに自分の脳が反応する。だから、運のよい人のそばにいると、その行動が無意識に自分にもうつる。

 

で、運のいい人はどんな事をしているのか、、、ということが延々と綴られている。一部抜粋すると、
・自分を大切にする
・いい加減に生きる
・自分の好みを大切にする
・プラスの自己イメージをもつ
・早寝早起きをする
・よい妄想をする
・あえてリスクのある道を選ぶ
・他人をおもいやる
・品のある行動をする
・不安と上手につきあう
・具体的な目標をもつ
・ゲームをおりない
etc,

 

まぁ、どれも、そうかもね、って思う。早寝早起きっていうのは、、、そりゃ人によるんじゃないの??ともおもうけど、私も早寝早起きのほうが好きだ。

 

品のある行動をする、っていうのは、粗野な振る舞いよりも、品のある行動の方が人の心を動かすのです、って説明されている。うん、そりゃそうだろうなぁ。科学的に理由を点けろと言われれば、品のある行動の方が、不快感を起こさせないから、ストレスホルモンをださせないから、ってことか。

 

「もし、幸運の神さまがいるとしたら、その神さまが放った幸運の矢をとらえる準備ができていること」が、運がいい人の共通すること。その準備の中でももっとも重要なのが、明確な目的をもち、常に忘れないこと。セレンディピティを発揮した人たちは、自分はこれをやりたい、これを達成したいという思いを強く持っているものです、と。

 

そう、幸運の女神は前髪しかないからね、出合ったら前髪をつかめ!って。通り過ぎて、振り返ってもつるつるでもうつかめないよ、ってやつね。

 

ゲームをおりないっていうのも、うんうん、そうだね。安西先生スラムダンク)の言葉でいえば、「あきらめたらそこで試合終了でしょ」ってやつだ。運のいいひとは、ゲームをおりないことを徹底している。具体例で、ハリーポッターの著者、J.K.ローリング三の話が紹介されている。シングルマザーになって、極貧で、、、それでも、書き続けた。幼いころからの夢だった小説をかく、ということをあきらめなかった。

 

結局、そうすることが自分にとって幸せなみちだったのだろう。自分軸で生きる、ってことかな。

 

本のタイトルのように、科学がつきとめた、っていうのはちょっと誇大広告のようなきがするけれど、実際に推奨されている「自分軸で生きる」っていうのは、共感できる。

 

だいたい、「運がいい」だって、自分軸でいいのだよ。だって、他人から、「あなたは運が悪いね」とか、「あなたは運がいいね」って言われたら、「あなたにいわれたくない」とか、思わないだろうか。

 

運がいい人は、自分が運がいい人だと思っている、これに尽きると思う。

 

起きた出来事を他人のせいにしない。環境のせいにしない。時代のせいにしない。たしかに、そういう背景はあったとしても、自責からにげているうちは、運はまわってこないよ。

 

人は誰でも「運のいい人」になれる。

と、私は思う。

 

コールターの言葉も正しい。

「まあな、でもそのたまたまは、おまえだから可能になったたまたまなんだ。おれじゃだめなんだよ。」

megureca.hatenablog.com