『まほうの木』 by アンドレイ・ウサチョフ

まほうの木
アンドレイ・ウサチョフ 作
イーゴリ・オレイニコフ 絵
藤原潤子 文
東洋書店新社
2020年11月1日 初版第一刷発行

 

『世界をひらく60冊の絵本』(中川素子、平凡社新書)の 「第2章 生き方の多様性」からの紹介本。図書館で借りて読んでみた。

 

作者のアンドレイ・ウサチョフは、ロシアの児童文学作家、詩人、劇作家、シナリオライター

絵のイーゴリ・オレイニコフは、ロシアの画家、イラストレーター、アニメーションの美術監督。100冊近い本の教えを手掛け、国際アンデルセン賞画家賞(2018)、ロシア連邦文化勲章(2018)など、多数の賞を受章。

 

翻訳の藤原さんは、神戸市外国語大学ロシア学科准教授。ロシアをフィールドとして文化人類学的な研究を行いつつ、翻訳にもたずさわる。

ということで、ロシアの絵本。表紙も、中も、なかなか凝ったイラスト。絵と文章が独立していて、しっかり物語になっている。

 

表紙をめくると、
”地球から、ずっとずっと
遠くにある惑星O

願いを何でも叶えてくれる。魔法の木があるんだって。
どんな星かな?行ってみよう。

不思議がいっぱいユーモアもいっぱい
ロシアの人気作家のお話を
国際アンデルセン賞受賞の画家が絵本にしました
親子でいつまでも読んで、いたくなる物語”
とある。

 

いろいろな魔法のお話。
見開き2ページに、イラストと、一つのお話。
いくつかのお話。。。

 

ふしぎわく星Oとまほうの木。
惑星Oには、まほうの木があって、お願いをかなえてくれる。
星一強くなりたいってお願いした男の子は、象になっちゃった!でも、お父さんとおかあさんが元に戻してくださいっておねがいして、元に戻った。

 

ゆめみるペンギン。とびたいな、っていったら、たまごが浮かんじゃった。

 

ミルクの海。天の川はミルクの川。ミルクの川の詩。

 

よくばりアザラシ。クリスマスのたびに惑星Oにいって魔法の木にお願いするのが面倒になったアザラシは、魔法の木の下に住むことに。で、たくさん夢をかなえてもらったけど、アイスばっかりたべて風邪ひいちゃった。声がでないよぉ。。。。って思っていたところに、娘の病気を治してもらおうとやってきた女の人が
「もうだれも 病気で苦しむことがありませんように」
っていったら、ちゃっかり、あざらしの病気もなおっちゃった。

 

おやくだちマンモス。惑星Oでは、いまもマンモスが重たい荷物をもちあげたりして活躍している。地球のマンモスが絶滅したのは、寒さのせいではなく、暇だったから。。。

 

タイムマシーン。おじいさんがタイムマシーンをつくってってお願いした。そしたら大きな古時計がでてきた。「さぁ、これに乗ってどこへでも」。おじいさんはふりこのうえでゆらゆらゆれておもいだした。小さいころはブランコが大好きだった。そして、気がついた。タイムマシーンって、時計のことだったんだ!

 

本のなる木。おかあさんが「子どもたちが賢い子にそだちますように」っていったら、まほうの木が「それなら本を読めばいい」って。本のなる木をだしてくれた。
えだには、本が鈴なり。

そう、「この本も、本の木のえだからとってきた」んだよ。

 

なんともいえない、不思議なお話と不思議なイラスト。最後の本のなる木のイラストは、工事現場のおじさんが、木から本を収穫して、、、、手にしているのは、この絵本「まほうの木」。

ふふふ。
と、思わずわらっちゃう。

 

ロシア人って、詩人だなぁ、、、、。
何とも言えない、、、リズムというか、、、世界観。不思議な世界が広がる一冊だった。多様性なんてもんじゃない。世の中、色々、、だわ。

 

そして、イラストが凝っている。こういうの、、、なんていうのだろう。技巧が凝らされているといのか、、、。絵本にする価値ある作品、って感じ。

 

さて、私なら惑星Oに行って、まほうの木に、何をお願いしようかな・・・。