宝島
スティーヴンスン(Robert Louis Stevenson)
村上博基 訳
光文社古典新訳文庫
2008年2月20日 初版第1刷発行
2019年7月19日 第3刷発行
TREASURE ILAND (1883)
先日、『ジキルとハイド』を読んだので、やっぱり、彼の『宝島』も読んでみようと思って図書館で借りてみた。あえて、光文社古典新訳文庫で。本書訳者の村上博基さんの訳になっている『ジキルとハイド』もあるらしい。
本の裏の説明には、
” 港の宿屋「ベンボウ提督亭」を手助けしていたジム少年は、泊まり客の老水夫から宝の地図を手に入れる。大地主のトリローニ、 医者のリヴジーたちとともに、 宝の眠る島への航海へ出発するジム。だが船のコックとして乗り込んだジョン・シルヴァーは 悪名高き海賊だった・・・。”
目次
第1部 老いたる海賊
第2部 船のコック
第3部 僕の島での冒険
第4部 防塞
第5部 ぼくの海の冒険
第6部 キャプテン・シルヴァー
感想。
面白い。あっという間。
小説と言えば、海賊冒険物語!って感じ。
なんてことはない、ちゃんちゃん、というエンドだけれど、やっぱり冒険物語は面白い。
著者のロバート・L・スティーブンソンは、イギリスの詩人・小説家。1850年~1894年。似たような海賊物語で言えば、『ロビンソン・クルーソー』の著者ダニエル・デフォーは、1660年生まれ。イギリスの小説家。
ということは、『ロビンソン・クルーソー』の方が100年前のお話なのだ。。。
『宝島』は、地図を頼りに宝を取りに行った冒険物語なので、『ロビンソン・クルーソー』のような、無人島サバイバル物語とはちょっと違う。でも、海賊がでてくるところとか、航海の様子とかは、重なるなぁ、、という気もする。島の中に、船をつけられるところを探す様子とか、潮の満ち引きでアクセスできる場所が変わるとかいうシーンもかぶる。
『宝島』は、主人公のジム・ホーキンス少年が自分の経験を語って聞かせるというスタイルで構成される。宝島へいった冒険物語が、いった本人によって語られているのだから、無事に生きて帰ってきた冒険物語ってこと。それは、ロビンソン・クルーソーと同じ。
ページをめくると、宝島の地図も。
途中、第4部では語り手がドクターに変わる。ジムの住んでいた町のお医者さんドクター・デイビッド・リヴジ―。医者なだけでなく、街の治安取り締まり者でもあり、悪いことする人を裁判にかけることもできる。そのドクターの語り以外は、ジムによる回想記って感じかな。
以下、ネタバレあり。って、みんな知っているか・・・。
ジムは、港町で父さんの経営する宿屋「ベンボウ提督亭」を手伝っている少年。ある日やってきた荒くれ水夫の客は、長居している割に、宿賃を全部は払ってくれない。その男、ビリー・ボビンズは、明らかに怪しげで海賊と思われるけど、ジムには”片足の男が来るのをみはっておけ”といって駄賃をくれる。しかし、宿賃をはらわずに居座っている間に、お父さんは病気で亡くなってしまう。おまけに、やってきた別の海賊風の男とケンカしたかと思うと、ビリー・ボビンズはラム酒をあおって店で死んでしまう。母さんと二人でビリー・ボビンズの荷物を探って宿賃を回収しようとすると、なにやら地図を発見。これは、宝島の地図!?
他にもビリー・ボビンズを追いかけてきた盲目の暴力男がいたのを知っていたジムは、これ以上店に変な奴らがきたら母さんも困るとおもって、地図をもって町の有力者であるドクター・リヴジーの元を訪ねる。そこには、大地主(スクワイア)・ジョン・トリローニも一緒にいたことから、二人に地図の話をする。
これは!フリント船長の残した宝島の地図!!
トリローニが友人から船を購入し、リヴジ―、ジムと一緒に宝島へ行くことにする。
ジムだけが子どもで、他は総勢25人の乗組員で海へ乗り出す。乗組員は、トリローニが集めたスモレット船長、ジョン・シルヴァー料理人、イズリアル・ハンズ操舵士、航海士、、水夫、、、、。コックのジョン・シルヴァーは、片足の男だった。もしかすると、ビリー・ボビンズが見張っておけと言っていた片足の男がジョンなのか?!?!
そして、宝島に到着するまでの間に、ジムは、シルヴァーが他の数人とともに宝の強奪を企てていることを耳にしてしまう。秘密をしったジムは、リヴジーとトリローニにそのことを打ち明けるが、いまさら宝島から引き返しても、シルヴァーらは反乱をおこすだけだろう、、、ということで、予定通りに宝島に向かう。
そして、そこで、リヴジーは当初の予定通りに水夫たちを上陸させる。すると予期した通りシルヴァーらが反旗を翻して、リヴジーらに銃器を向ける。ジムは、何かの役に立てるかも、、と、ひそかに上陸する。
ジムやリヴジーの味方になったのは、トリローニ、スモレット船長、トマス・レドロース老人、リチャード・ジョイス、ジョン・ハンター。他は、みんな海賊の一味となってリヴジ―を裏切る。途中、グレイ・エイブラハムがシルヴァーを裏切って、リヴジ―一派を応戦。
ジムは、島でシルヴァー一派から逃れようとしているときに、1人の男にであう。ベン・ガンは、三年前に他の海賊に置き去りにされて1人でサバイバルしていた男だった。ベン・ガンもジムの味方に。
そして、停泊中の船の上での戦い、島の陸での戦い、、、、。
すった、もんだ、、、すった、、、、すった、、、、のあげく。。。
多くの死傷者がでるけれど、ジムやリヴジーはみんな無事。トマス爺さんだけは撃たれて亡くなってしまう。目の前で人が死んでいくのに最初はショックをうけていたジムだったが、みんなを助けるために、1人で船にもどり、生死をくぐり抜ける。
そう、しばし、ジムの安否は不明になる。その間のできごとが、第4部、リヴジーによって語られる。
そして、ついに地図にあった宝の場所にたどり着いた一行だったが、宝は既に他のものに持ち去られていたことがわかる。。。
が、、実は、フリントの財宝は、地図のところから別の洞窟へうつされていたのだった。ベン・ガンによって!!
そして、何人もが死亡した交戦は休戦となり、ジムが仲立ちとなって、なんとなく、シルヴァーとリヴジーらも和解。。。しかし、海賊行為をしたことには間違いないので、国にかえればリヴジーは海賊を処罰することができる。連れて帰っても、絞首刑になるだけなら、、、という親心もあって、反乱軍の反省しない輩は、島に置いてきぼりにされ、他の面々は船で国へ戻っていく・・・。ベン・ガンが隠しておいた宝物をたんまりと船にのせて。。。
ちゃんちゃん。おしまい。
実に、シンプルな海賊、宝さがしものがたり。
少年のジムが子供ながら活躍するところや、悪者で敵だけれど人情深くもあるシルヴァーが最後に和解するところ、船での戦い、陸での戦い、、、血なまぐさい殺し合いもあるけれど、なんともいえない、、、楽しい冒険物語。
これは、アニメにしても面白いだろうなぁと思う。
宝、海、島、船、、、どれもがワクワクポイント満載。
鉄板のアドベンチャーワールド。
あっという間に読める文庫本。
子どもでも楽しく読めると思う。
夏休みの気晴らしにいい一冊。
冒険物語は、なんとなく、、、夏に向いている気がする・・・・。
海のお話だからなだけか・・・。
読書は楽しい。