好循環のまちづくり!
枝廣淳子 著
岩波新書
2021年4月20日第1刷発行
図書館で”新着ご案内”の所に並んでいた。
枝廣さんの名前を見つけて借りてみた。
まちづくりをテーマにした本ではあるけれども、枝廣さんのシステム思考を垣間見ることができてなかなか面白い本だった。組織運営という視点でも、勉強になった。
枝廣さん曰く、まちづくりにおいて大事なものは、その一つは共通のビジョンをつくるということ。
そしてシステム思考(つながりをたどって現状の構造を理解する)で、つながりの好循環を考える。
悪循環を断って、好循環を強めるためのプロジェクトを考えて実行する。
ビジョンづくりをホップ、システム思考でのつながりをステップ、好循環を強めることジャンプ。
ホップ・ステップ・ジャンプの3ステップと枝廣さんが説明している。
テーマは街づくりだけれども、これは組織における事業運営にも同じことが言えるように思う。
ビジョンづくりで大切なのはバックキャスティングで考えるということ。
今ある、今できることからフォーキャストで考えるのではなく、どうなりたいのか、ありたい姿を考え、目的地から現在地へバックキャスティングで考える。
ビジョンと手段を混同しないことも大事。
また、ビジョンはつくったビジョンを共有するだけでなく、作るプロセスの共有も大事だと。
ビジョンを作るプロセスのヒントとして、「最悪シナリオ」から考えてみるというのも面白い。「絶対に、こういう未来にはなりたくない」という「最悪シナリオ」を共有することで、じゃぁ、もっとこうしよう!という、明るいビジョン設定が共有しやすくなると。
企業の成長のシナリオを書くときも同じだと思う。
個人の成長のシナリオもそうかもしれない。
ありたい姿を考えなければ、ありたい姿にたどり着くことはない。
やりたいことリストを作るとき、やりたくないことリストから作るのやりやすいのと同じかも。
そしてプロジェクトを実行していくにあたって指標を正しく設定するというのも大事ということが書かれている。
まさに「測らなければ、管理することができない」(by エドワーズ・デミング)だ。
計測することが、結果をもたらす。
そして何を指標にするかは目的次第であり、 進捗が分かるような指標が必要である。
指標には先行指標と遅行指標がある。
例えば人口減少に苦しむ市町村が人口そのものを指標としても、それは遅行指標でしかない。つまり何かのアクションをとったとしても、すぐに結果としてその数値の変動が見えてくるものではないということだ。なので指標には先行指標と遅行指標とバランスよく設定することが必要である。
ダイエットするときの、今日一日の摂取エネルギーの記録が先行指標だとすれば、体重は、遅行指標だろう。
サラーっと読める本で、なかなか、当たりだった。
本当に地方創生をしていきたいと思っている人には、とても良い教科書になると思う。
枝廣さん自身、自分がすべての地方都市に直接貢献できるわけではないので、この本を書いた、とおっしゃっている。
文字にするというのは、すごいことだ。
私が初めて枝廣さんのシステム思考に出会ったのは、彼女の翻訳本だった。
「世界はシステムで動く」 by ドネラ・H・メドウズ, Donella H. Meadows,
なぜ、その本を手にしたのかは忘れてしまったけれど、その年の一番おすす本といっていいくらい、私には目から鱗が、ポロポロ、、、。頭がすっきりしたのを覚えている。
久しぶりにシステム思考という言葉を思い出し、かつ、つながりのループで複雑な関係を図に示していくという作業を思い出した。
事業計画を考えるときに書き直してみようと思う。
本当に地方再生をしたいと思っている人にお薦めの枝廣さんTips。
【地域経営力】
① 将来を見据える力
② 考える力
③ 議論する力
④ 変化を作り出す力
⑤ 伝える力
⑥ つながるつなげる力
一人一人の成長にもつながると思う。
ちょっと、社会に対して、がんばろうかなぁ、という気がしてきた。
とりあえず、、、、という手短な目標ではなく、長期の自分のビジョンを見つめなおそう。
そうだ、6月末で、脱サラ一年。
記念すべき、独立記念日。
いや、独立に向けての準備記念日だ。
自分の人生づくり、長期視点で考えよう。
人生、150年時代!!