全生庵:夏の坐禅会 「後姿を拝まれる人」

昨日は久しぶりに、全生庵での夏の坐禅に参加した。有志の集まり。

山岡鉄舟ゆかりの寺、全生庵


コロナになってから、定員を50人から半分に減らして開催しているが、 昨日はほぼ満員だった。 そして久しぶりの顔に会うこともできた。やっぱり数年ぶりでも馴染みの顔に会えると嬉しい。

 

夏の坐禅会は、、、、暑い、、、。
18時40分から始めるので、8月の今なら、外はもうだいぶ暗い。
本堂の2階へ登ると、ちょっとだけ、窓から風がふいていた。隣の人と、「ここなら、ちょっとは風がふくかな?」なんて煩悩まみれな話をしつつ、各自、それぞれ自由に席に着く。

 

蝉が鳴いていた。
風がふいていた。
時々、救急車のサイレンが聞こえる。
車の音。
そして、警策の音が響く。

 

警策(けいさく)とは、坐禅中にバシバシ、と叩かれるやつ。
今は、夏なので、左右2回ずつ。

megureca.hatenablog.com

 

昨日は、なんだか、あっという間だった。

一応、20分の坐禅を小休憩をはさんで2回行うのだが、もちろん、脚は痺れるけれど、それも慣れてきたからか、最近は20分の坐禅をあっという間、と思うようになっている。

 

じっと座っていると、次第に身体から熱が抜けていく。
時々吹き抜ける生暖かい風ですら、涼しく感じる。

あぁ、なんか、気持ちのよい坐禅会だった。

住職の話で、元気ももらった。

 

昨日の平井住職のお話は、全生庵で毎年8月に公開している「幽霊画展」から。

www.theway.jp

 

幕末から明治にかけて活躍した落語家の三遊亭円朝が、100枚集めたいといって集め始めた幽霊の絵。実際には、円朝さんは、100枚集め終わる前に亡くなってしまい、その意思を近所?の八百屋さんのような人が継いで、100枚になったのだそうだ。

全生庵の「幽霊画展」を見たのは2回目。これも幽霊?と思うような、愛らしいものから。まさにお岩さんかとおもような、おどろおどろしいものまで。なぜ、円朝さんが集めようと思ったのかは知らないけれど、、、円朝さんにまつわるお話を。


円朝さんは、すでに亡くなって120年以上たったいるのだが、今なお円朝さんの命日(8月11日)に併せて、法要そして「幽霊画展」が続いている。まだ、録音技術なんてものはなかった時代。今となっては、円朝さんがどれほど上手い噺家だったのかはわからない。でも、今なお皆に慕われている。
円朝さんは、子供はなかったのだそうだ。子孫がいないにもかかわらず、今なお法要が続いているのは、弟子、その弟子、その弟子の弟子、、が、代々、円朝さんへの思いを受け継いできたから

子供がいなくても、法要が120年以上たった今も続いている人。落語家。。。宗教家とかではない。。。

 

そんな話から、住職のおじいさまの話になり、
「50より60、60より70、70より80,そして、80よりも死んでから・・・」と、よくおっしゃっていたと。煙草を愛飲されていてたというおじいさまのもう一つの言葉は、
「たばこも人も、煙になってから」と。

 

住職が言ってくださったのは、
「後姿を拝まれる人になりなさい」
ということだった。

面と向かっていれば、にこにこと愛想よくしてもらえていても、通り過ぎた後に唾をはかれるような人間にはなりなさんな、と。

なるほどなぁ、、、、。

 

言葉で相手を納得させるのではなく、後ろ姿で示せ、と。
あれこれ口でいうばかりでなく、やって見せろ、ということか。

 

なるほどなぁ、、、。

 

人間、年を取るほど、ついつい一言多くなりがちだが、黙っていること、自分の行いで伝えることを学ばなくてはいけないなぁ、と思った。

 

「後姿を拝まれる人」
そうなりたいと思ってなれるのではないのだろうな、、、と言う気もする。
でも、お口チャック、黙っていることの大切さを感じる今日この頃。
「後姿を拝まれる人」、なってみたいものだ。

 

そして、幽霊の話からついでに。
住職は、「お化けっているんですか?」ときかれることがよくあるという。
住職曰く、お化けは見える人にはみえるし、見えない人には見えない。ただそれだけのこと。でも、お化けと言っても「うらめしやぁ~~」と恨みをもって現れているお化けだけでないのだよ、と。お化けにも喜怒哀楽があるのだから、もしもお化けにであったら、怖がらずに話をきいてあげたらいいんじゃない?

と。

 

ふふふ。

 

そうかもね。
座敷童だって、おばけといえばおばけだもんね。
遊んであげなきゃ。

 

お化けにも、後ろ姿で語れるかな?

 

今となっては聞くことができない、三遊亭円朝さんの落語。お化けの話も上手だったらしい。円朝さんの話は聞くことができないけれど、住職の話はこうして聞くことができる。こういう話を聞ける機会があるということがありがたい。

 

後姿を拝まれる人。

しばらく、私の中の流行語になりそうだ。

 

まずは、今日やるべきことを、頑張ろう。