『なまけ者のさとり方』 by タデウス・ゴラス

なまけ者のさとり方
デウス・ゴラス
山川紘矢・亜希子 訳
地湧社
1988年4月25日 初版発行
1991年7月10日 19刷発行
The Lazy Man’sGuide to Enlightenment (1971)

 

先日の屋久島旅行の際、立ち寄ったカフェ「Sea and Sun」で、見つけた本。

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小さなお店の中には本棚が一つあって、屋久島に関する自然の本とか、宇宙の本、子育ての本、、、色々な本が置いてあった。そのなかで、ふと、目に入ったのが、本書『なまけ者のさとり方』だった。
注文したトーストができあがるまでの間、パラパラとめくって読んでみたら、面白そうだった。そうこうしているうちに、お料理が運ばれてきたので、途中まで読んでやめたのだけれど、やっぱり、心のどこかで気になった。

 

地湧社なんて、きいたことのない出版社だし、著者のデウス・ゴラスだって、誰だか知らない。。。なんか、信仰宗教家か?!?!なんて気もしなくもないけれど、いたって普通の悟りの本のような感じもする。

 

結局、旅の途中で、中古本をポチった。

 

届いた本は、驚くほどボロだった・・・。背表紙は、茶色く日焼けしている。かつ、破れている・・・。中のページもだいぶ茶色い・・・。1991年の発行なんだから、さもありなん、、、。中古で、送料込みの328円。文句はいえない、、、やね。

そして、読んでみて、あぁ、なるほど、って思った。

 

目次
はじめに
第1章 私たちは誰か
第2章 ママ、 僕、 わかっちゃった!
第3章 楽しい日々を送るには
第4章 困難に直面したら
第5章 なぜ私たちはここにいるのだろうか?
第6章 自己改革
第7章 振動数と時間の流れ
第8章 変化のプロセス 
第9章 現実とは 
第10章 さとり方について
寓話
もっとなまけ者の人のために
訳者あとがき

 

感想。
あぁ、、、なるほど。
これは、もしも、ブルーな気分で落ち込んでいたら、すごく、心癒されると思う。
そして、別にブルーな気分でない私にとっては、あぁ、、、そっか、それでいいんだ。やっぱり、それでいいんだよね、、、って、強く共感し、心に安堵感をくれる一冊。

328円、ボロボロだけど、価値あったよ。

 

著者のタデウス・ゴラス についての説明はない。本書は、現在はPHPからも出版されているそうで、そこでの説明文によれば
”本書は、つらい時、苦しい時、途方に暮れた時に心の迷いを晴らしてくれる、世界一やさしい人生のガイドブックアメリカの片隅で生まれ、多くの人に読み継がれた50万部のベストセラーが日本に上陸して17年、ロングセラー待望の文庫化です。”って。


HMV&BOOKSのHPでは、タデウス・ゴラスについて、
”1924年6月15日生まれ。ニューヨーク市コロンビア大学卒。両親はポーランド系で、20世紀初頭アメリカに渡る。タデウスは、ほとんど一生涯、出版関係の仕事に従事していた。1997年没”と。

本書が唯一の著書のようだ。

 

はじめに、では、本書をよむことで、誰か一人でも前より気持ちが楽になれば、、とおもって筆をとったことがのべられている。

 

第1章で、
「私たちはみな平等です。そして宇宙とは 私たちのお互い同士の関係です。宇宙はただ1種類の実体からできていて、その一つひとつが生命を持ち、一つひとつが自分の存在の仕方を自分で決めています」とあり、理解するべきは、たったこれだけのことだと。

 

生きものの基本的営みは、拡張することと収縮すること。拡張した生き物は「スペース」になって四方に浸透し、収縮した生き物は濃縮して「かたまり」になる。

収縮すると固まっちゃう。

そして、私たちは、個人としても、グループとしても、「スペース」「エネルギー」「かたまり」のうちのどれかになって見えるのだと。そして、それは、自分で選んだ拡張と収縮の割合によって決まってくるのだと。

その時、どんなバイブレーション(振動波)を私たちが出しているかによって決まってくるのだ、と。

そして、大事なのは、だれもがそのうちのどこかにとどまっているのではなく、「スペース」にいったからと言って、それが維持されるわけでもなく、それが「さとり」の境地なわけでもない。

ゆらぎ。
変化。
それがあるのが、宇宙。

 

エネルギー状態が、低く固まってしまえば、、、心が凝り固まっている感じ。ちょっと、わかる。エネルギー状態が、高く拡散していれば、心に余裕があって、地球を愛せる人に慣れる感じ。

 

エネルギー状態は、変化する。私たちの気持ちも変化する。

 

そして、そのエネルギー状態を決めるのは自分であって、環境でも、他者でもない。
他から、コントロールされていると感じているとしたら、自分で自分を塊の状態にしているから。塊の状態にしているのは、自分ってこと。


悟りとは、意識が広がっていくプロセス。だから、変化するのだ。


みんなそれぞれのバイブレーションがあって、それを認めることも大事。
自分が、ひとたび悟ったような気になり、「スペース」の状態に至ったとおもうと、そうでないバイブレーションにいるみんなにむかって、お説教をはじめたりする、、、、。

この世はいかに邪悪か、都会はいかに腐敗しているか、いかに人々が罪深いか、みんなに向かって お説教を始めたりする。


あぁ、、、、あるある・・・。
自分はわかった人のような気になって、人にお説教をする。。。

 

他人に、説教などするものじゃない、と、本書でははっきり言っている。
さとったひとは、人に自分の考えを押し付けたりしない。

 

自分のことも、相手のことも愛すること。そのままで愛すること。それに尽きる。バイブレーションのレベルを上げるために、セミナーに出てみたり、ヨガをしてみたり、どのような方法が効果があるかは、その人次第。

 

どんなことも、あなたが、本当に興味とやる気を持っていないと、役に立たない。”って。

だから、その人がやる気にならないことをすすめても、お説教にしかならないということ。

 

他の人に精神的な解決方法を進める時は( 精神的でないアドバイスの場合も当てはまりますが)必ず、 その人が楽しく、生き生きと感じていること、 つまり その人の エゴの構造体を捨てるように、と要求しているのです。
これは、危険です!
気を付けてください!
と。

 

そして、他の人があなたに何をしようと、あなたに起こることは、あなたの責任です、と。

相手を自分と同じバイブレーションレベルにひきずりおとそうとしたら、上げようとしたりするのも、愚かなこと

「人はみな平等だという法則に反するような行動」は慎むべきだと。

上から目線も、下から目線もいらない。
自分が誰かを助けられるかもなんていうのも、思い上がりかもしれない。

もっとも深い罪は、「人間を罪びとと信じていること」だそうだ。

なるほどなぁ、。。。

共感する言葉がたくさんある。

 

そして、第四章では、困難に直面したら、これだけを覚えていて、と。
「さからわないこと」
「今のあなたのままで、できる限り愛しなさい」
「あるがままを愛しなさい」
「自分を愛しなさい」


最後にある、「もっとなまけ者の人のために」といページには、本書の中からの抜粋の言葉だけが、5ページにわたって、記されている。でも、空白だらけの5ページなので、本当に抜粋。

なんだか、不思議な本だった。 

 

2020年、コロナ禍の中で脱サラした私は、様々なコンサルタントとしても仕事をしてきた。主には、技術コンサルだった。でも、キャリアコンサルとか、コーチングのようなこともやろうと思ったけれど、たくさん本を読んでいるうちに、「コンサルやコーチング程余計なお世話なものはないのではないか、、、」という気になって、すっかり興味をうしなった。

 

相手から求めらえれば話を聞くし、話すけど、やっぱり、「アドバイス」って一歩間違えると「毒」でしかない気がする。ダイアローグしているつもりが、いつの間にか自分の言いたいことを言っている自分にハタと気づくと、ぞぉっとする。お前、何様だよって、自分に思う。

 

「意見は聞いても、アドバイスは疑ってみろ」って、とても正しい。

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人それぞれに、上質世界があるし、その世界も変化するってこと。

そっと、その変化を見守るのが、そばにいる人のやるべきことのようにも思う。

 

面白い一冊だった。

ボロだったけど・・・・。

 

読書は楽しい。