『子うさぎましろのお話』  by 佐々木たづ

子うさぎましろのお話
佐々木たづ 文
三好碩也(せきや) 絵
ポプラ社 おはなし名作絵本 3
1970年1月 第1刷
2020年11月 第97刷

 

ポプラ社のおはなし名作絵本。『おにたのぼうし』がとてもよかったので、他のシリーズもとおもって、図書館で借りて読んでみた。

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作者の佐々木さんは、1932年、東京生まれ。都立駒場高校在学中に緑内障のため 両眼失明。 1959年、 童話集『 白い帽子の丘』で、 第1回 厚生大臣児童福祉文化賞受賞。

 

絵の三好碩也さんは、 1924年香川県生まれ。 猪熊弦一郎氏に師事し、主なる著書、絵本『せかいで初めてのお話』など、多数。

 

二人とも、よく知らなかった。お話も知らなかった。第一刷は、わたしが1歳のときで、きっと、我が家にはなかった絵本。絵は、なんとも素朴な、、、、色鉛筆かな?水彩かな?
この名作絵本シリーズは、お話はちゃんとお話になっている。物語が中心みたい。

 

白うさぎの「ましろ」の物語。

 

クリスマスには、サンタクロースからプレゼントをもらえる子どもたち。ましろは、サンタクロースのおじいさんが住む北の国に近くにすんでいるので、最初にプレゼントをもらえる。

その年、ましろは、一番先にプレゼントをもらう。大きなお菓子とお部屋に飾るかざりをもらった。うれしくて、すぐに ペロリと食べてしまって、 まだもっと何かが欲しくなった。そして、 サンタクロースのおじいさんが帰ってきたら、もう一度頼んで贈り物をもらおうかなと考える。
でも、どの子どももプレゼントは一回きり、と知っていたので、ましろは、別の子になりすまして、もう一度プレゼントを貰おうと考える。

 

まひるは、いろりの燃えがらを体に擦り付けて、くろくなってサンタクロースの帰りをまった。そして、朝の早い時間、帰ってきた サンタクロースのおじいさんに
「 僕にも クリスマスの贈り物 ちょうだい」とお願いする。

おじいさんは、くろくても、それがましろだとすぐに分かった。

「おまえは、白うさぎの子、ましろだね?」
「ううん、ちがうちがう。べつのうさぎの子。ほうら、こんなにくろいところがあるよ」

おじいさんは、そうかそうかといって、袋のなかを探してみる。
でも、「もう空っぽだ」といって、袋をひっくりかえすと、ぽろりと種がおちた。

「種でもいいや」
ましろは、種をもらいました。
それでもおじいさんは、まだそりの中からなにかプレゼントはないかと探してくれます。
おじいさんが途中で食べるサンドイッチがまだひとふくろのこっていました。

「こんなに あさはやく あるいてきたら、さぞ さむかったろう。
さあ、これをおあがり」

ましろは、おじいさんのそりの中にはいって、それをたべました。
その、おいしいことといったら!

サンタクロースのおじいさんは、さっきの種をふくろにいれて、ましろに渡しながら
「さぁ、よい子ではやくおうちにおかえり。おかあさんがしんぱいしてまっているよ」
といいました。

「さよなら」

 

はしってお家へ帰ろうとおもったましろでしたが、自分が黒くなっていることを思い出し、 サンタクロースのおじいさんもわからなかったんだから、 お母さんも僕だってわからないかもしれない、とおもって、からだのすみをはらいはじめました。


ぱたぱた
ごしごし
でも、すみはとれません。
どうしよう!

「ぼくは 本当にましろじゃなくて、別のうさぎになっちゃったのかしら?」
まるい目から涙があとからあとからぽたぽたこぼれました。

 

嘘をついたのがわるかったのだとおもったましろは、サンドイッチはもうたべちゃったけど、種はおじいさんに返そうと思います。でも、おじいさんはましろをべつのうさぎと思い込んでいるとおもったましろは、それはやっぱりだめだ、と思います。

「この種は、神様におかえししておこう。土の中にうめて」

そう考えたましろは、ゆきを掘り始めました。
ほってもほっても土が出てきません。
手が冷たくなっても、足が冷たくなっても、ましろは雪を掘り続けます。
やっと土がでてきました。
土に穴をあけて、たねを大切にその中におき、土をかけて穴をふさぎ、雪をかぶせて平らにしました。

きがつくと、ましろは雪の玉のように雪まみれ。はぁはぁいいながら雪をはらいおとすと、
「あ!とれてる!白くなっている!」

ましろは、モミの木をぬけてお家にかえりました。

 

ましろが神様にお返しした種は、春になって芽をだしました。それはモミの木でした。そのモミの木の伸びること伸びること。

 

12月になって、ゆきのたくさんつもったある朝、ましろが外にでるとどこからともなく良い音が聞こえてきます。音のする方へいってみると、それはモミの木の林でした。たくさんのモミの木のなか、ましろがまいたあのモミの木が金銀に光り輝き、その美しいことといったら。モミたちが、「もうすぐイエス様の誕生日」とうたっています。そして、ましろのモミの木には、おもちゃ、えほん、おかし、りぼんなどがたくさんなっています。

ましろは、サンタクロースのおじいさんのところへ、モミの木にプレゼントがなっていることを知らせに走ります。

「そうかそうか」
おじいさんは、ましろの頭を優しくなでると、一緒にモミの木のところへ来ました。

「おうおう。なんとうつくしいモミの木だろう」

動物たちも手伝って、モミの木からプレゼントをあつめました。とってもとってもプレゼントが木になります。サンタクロースのおじいさんは、北の国の子供達へ贈り物をすると、世界中へ贈り物をくばりにでかけました。

そして、それからクリスマスになると毎年、ましろはまっさきにおじいさんのおてつだいをしに、モミの木のところへ飛んでいきました。

おしまい。

 

へぇ、、、しらなかった。初めて読んだお話。
プレゼントのなる木、いいねぇ。
とってもとっても、プレゼントがなる木、あったらいいねぇ。
でも、独り占めはだめだね。
お友達とみんなで分けるから、毎年プレゼントがなるんだね。

 

種からモミの木。モミの木からプレゼント。なかなか楽しいお話。
素朴な絵がなんともいえない。

クリスマスって、いろんなお話につながるんだなぁ、と思う。

 

絵本は楽しい。