『いっきに学び直す世界史 西洋史 近世・近代 第2巻』 佐藤優・監修

いっきに学び直す世界史 西洋史 近世・近代 第2巻
【現代世界の源流がわかる知識編】
企画/監修/解説 佐藤優 
原著 大久間慶四郎
編集 山岸良二
執筆 平山顕、馬場晴美
東洋経済新報社
2025年8月14日 発行

 

第1巻の続きも、図書館で借りて読んでみた。

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本の裏には、

”佐藤優氏が大絶賛するこれだけの理由
①「ストーリー」 だから理解しやすい
②「最新情報」に全面改訂
③「使える知識」が身につく
とあって、確かに、 第1巻を読んだ時にそう思った。とはいうものの、すでに第1巻の内容は、記憶の彼方になりつつあるけど、、、。

 

そして、
” 大人の教養はここで決定的に差がつく
 きちんと説明できますか?
◎「ウエストファリア条約」が作った現在の国際秩序
 なぜ「近代の始まり」か、 理由まで説明できますか?
◎ 「イギリス革命」 「アメリカ独立革命」「フランス革命」 
「始まり方」「経緯」が全然違う!「民主主義」 3つの歴史 
◎ロシアは250年前からウクライナを狙い続けていた
  エカチェリーナ2世は南下政策をなぜ進めた
と、課題のように書かれていて、それぞれに読むべきページが記載されている。読みお泡った今、見返すとおぼろげに説明できるかな??

 

目次
本書を強く推薦する 佐藤優

第1章 近世ヨーロッパ世界の形成
佐藤優 特別対談「キリスト教を知ることで現代世界が見えてくる」
1 ルネサンス
(1)イタリアのルネサンス
(2)他の諸国のルネサンス
(3)科学と技術の発達
2 ヨーロッパ世界の拡大
(1)インド航路の発見
(2)アメリカ大陸「発見」
(3)地理上の発見の影響
3 宗教改革
(1)宗教改革の先駆者たち
(2)ルターの宗教改革
(3)カルヴァンの宗教改革
(4)イギリスの宗教改革
(5)対抗宗教改革

第2章 主権国家体制の形成
佐藤優 特別対談「主権国家体制の歴史から学ぶ平和外交」
1 主権国家体制の成立
(1)主権国家体制
(2)スペインとオランダ ほか
2 17~18世紀のヨーロッパ文化
(1)バロックの美術・音楽・文学
(2)科学と哲学
(3)政治・経済思想

第3章 市民革命と産業革命──ヨーロッパ近代国家の発達①
佐藤優 特別対談「フランス革命も産業革命も「歴史は繰り返す」」
1 イギリス革命
(1)市民革命前のイギリス
(2)国王と議会の対立
(3)ピューリタン革命と共和政 ほか
2 アメリカ独立革命
(1)13植民地
(2)重商主義と独立戦争
(3)アメリカ合衆国の成立
3 フランス革命とナポレオン
(1)革命前のフランス
(2)フランス革命
(3)フランス第一共和政
(4)ナポレオンの登場 
4 産業革命
(1)イギリスの産業革命の要因
(2)イギリス産業革命の展開
(3)諸国の産業革命

第4章 自由主義と国民主義──ヨーロッパ近代国家の発達②
佐藤優 特別対談「近世・近代史からは現代社会の構造が見える」
1 自由主義運動の進展
(1)ウィーン体制の成立
(2)ラテンアメリカの独立
(3)フランス七月革命
(4)イギリスの自由主義改革
(5)社会主義思想の誕生 ほか
2 国民国家の発展
(1)イタリアの統一
(2)ドイツの統一
(3)ビスマルク外交の展開 ほか
3 アメリカ合衆国の統一
(1)領土拡大と民主主義の発展
(2)アメリカの奴隷問題と南北戦争
4 ロシア帝国と東方問題
(1)ロシアと東方問題
(2)ロシアの改革
(3)バルカン諸国の発展
(4)北欧三国の発展
5 ヨーロッパ18~19世紀の文化
(1)文学・美術・音楽
(2)哲学・思想
(3)社会科学・史学
(4)自然科学

 

とまぁ、第2巻も盛りだくさん。
付箋がいっぱいついたけれども、 まずは 本の裏にあったお題について私なりの理解を書き留めておこう。

 

◎「ウエストファリア条約」が作った現在の国際秩序
ウエストファリア条約は、1648年、三十年戦争終結の機会にむすばれた。三十年戦争(1618年〜1648年)は、神聖ローマ帝国(現在のドイツ周辺)を舞台にした、キリスト教の教派争いから始まった大規模な国際紛争。もともとは神聖ローマ帝国内での、カトリック(旧教)とプロテスタント(新教)の対立が原因だった。最終的に、 ウエストファリア条約を結ぶことで 戦争は終わった。

ウエストファリア条約によって
1. 主権国家体制の確率: 領土の確定
2. 主権平等の原則
3. 勢力の均衡: 集団安全保障の原型
がもたらされた。

現在、 私たちが使っているパスポートは、領土を持った主権国家体制ができたことでつくられるようになった。

領土にしても、体制にしても、それ以前は、 ローマ教皇や神聖ローマ皇帝といった権威が支配するものだった。

主権国家体制の一つが「絶対王政」であり、その維持には官僚と常備軍が必須であり、その維持のためには貨幣がたくさん必要だった。そして、重金主義がうまれた。


「イギリス革命」 「アメリカ独立革命」「フランス革命」 
イギリス革命: ピューリタン革命。 1642~1688年。
 「国王」(スチュアート朝)と「議会」の対立。
  王が勝手にルールを変えるのをやめさせたい議会が立ち上がり、王に妥協させた。
 立憲君主制、 議会政治が生れた。

アメリカ独立革命: イギリスの支配からの逃亡。 1775~1783年。
 1776年、独立宣言。
「 イギリスの議会と国王」と「 北米13植民地の住民」の対立。

フランス革命:社会改革、王制廃止。旧体制の根底からの崩壊。 1789~ 1799年
「 絶対王制・聖職者・貴族」と「ブルジョワジーと平民」の対立。
激しすぎてその後の混乱が大きかったのが特徴。

 

◎ロシアは250年前からウクライナを狙い続けていた
  エカチェリーナ2世(在位1762~96年)の時代から、ロシアは不凍港の獲得を求めて南下政策を進めた。南下するにあたって、重要だったのが黒海~ ボスフォラス海峡~ ターダネル海峡~ 地中海の航路。黒海に面したウクライナ、クリミア半島を得ることは、ロシアにとっては黒海をロシアの内海にするという意味で極めて重要だった。


と、これだけのことが頭で整理できたというだけでも、本書を読んでよかった。フランス革命が激しすぎてその後の混乱がひどかったということも、だから絶対王制から恐怖政治、 立憲君主制、共和制(第一共和制)、 総裁政府、帝政、、、と移り変わっていったのだ。その混乱の中で出てきたのがナポレオン。英雄ナポレオンだけれど、ホントのところはただのやんちゃ坊主だったのではないのか?どこの国の歴史も、英雄的登場人物がでてくると、美談にされるのかもしれない。と、坂本龍馬の姿がちらりと頭に浮かぶ。

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他、断片的になるけれど、覚書。
・ 宗教改革といえば マルティン・ルター (1483~1546)をまず思い浮かべる人が多いけれど、実は彼はいい加減な人で、ほとんどが ヤン・フス(1370~1415) のやったことの 2番煎じ。

 

・フス派:ヤン・フスの改革に順った人たち。フス派が団結したので、カトリック側がフス派討伐のために結成したのが十字軍。フスの出身地である チェコの教会では、 十字架ではなくワインの盃がシンボルになっている。

 

・大航海時代の流れで、 1543年に種子島に漂着したポルトガル商人によって、日本に鉄砲が伝来。

 

・アステカ王国の滅亡:征服者コルテスは、 少人数でアステカ王国を滅ぼしたとされているが、アステカでは人間の 生贄が必要とされ、これに苦しんでいたトラスカラ人がコルテスに味方したとも言われている。

 

カルヴァンの予定説では、 救われるべき人間は神により初めから予定されているとするが、誰が救われるかは人間にとっては知り得ないことである。 そのため、各人は自分こそが救われるという自己確信を抱くほかにない。従って、救いの確信を得るためには、神から与えられた天職としての職業労働に不断にかつ禁欲的に関わるべきであり、その結果として得られた利潤は、救いの証拠とみなされて、獲得した富が多ければ多いほど予定された救いは確実視される。
 このプロテスタンティズム、ことにカルヴァン主義が 近代資本主義の発達と密接な関係にあることを指摘したのが、 ドイツの社会学者 マックス=ヴェーバーであり、その著書が『 プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』、通称「プロ倫」。

 

・ イエズス会は多数の教育機関を設けて優れた教育を行った。 厳格な教育・養成を行うことでプロテスタントに対して教義解釈上で優位に立てるような知的エリートを育成するためだった。実際には、プロテスタントの中にも子弟の教育をイエズス会の学校でうけさせるものがいるほどだった。

 

マリ・アントワネット: マリア・テレジア(オーストリア、ハプスブルク家、神聖ローマ皇帝カール6世の娘)の末娘。 フランスの皇太子ルイ(のちのルイ16世)に嫁いだ。フランス革命で処刑。

 

・ サンクト=ペテルブルク は、 聖ペテロ にちなんで名付けられた。レーニンの死後、レニングラードと呼ばれ、ソ連崩壊の流れの中で、再びサンクト=ペテルブルクの旧称にかわった。

 

・バロック文化のバロックとは、もともと「ゆがんだ真珠」という意味。 バロック様式を代表する建築物は、ヴェルサイユ宮殿。

 

・フランス革命の流れ:ジロンド派→ ジャコバン派(ロベスピエール)→ ナポレオン。
1789年、民衆は絶対王政の象徴であるバスティーユ牢獄を襲撃して占領。フランス革命が始まった。ヴェルサイユ行進では、革命前年の小麦の凶作でパンの値段が高騰したことにおこった女性が反乱の中心となった。
 食べ物が絡むと、女は強い?!

 

・17世紀の危機:ヨーロッパ全体が気候の寒冷化によって食糧生産が減少し、 世界的な貿易活動も停滞した。 フランスでは フロントの乱、ドイツでは三十年戦争が国際的紛争に転じていた。 そんな中、イギリスのチャールズ1世は王制批判が高まる中、国王として処刑された。他国も、自分の国のことで忙しくてイギリスに干渉する余裕がなかった。

 

・1783年 パリ条約:アメリカの独立承認。

 

・1894年 ドレフェス事件: ユダヤ人将校 ドレフェス大尉が軍法会議でドイツのスパイとして終身流刑となった。ところが後に別に真犯人が発覚して冤罪が判明し、共和派は裁判のやり直しを主張した。 これに対して、軍部や右翼・教会は反ドルフェスの姿勢を貫き、フランス国民の反ユダヤ感情を刺激した。
『失われた時をもとめて』にでてきたドレフェス事件。つながった。

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【第四章:佐藤優、馬場晴美の対談から】
・馬場:「 学問とは本来、役立つことを考えて学ぶものではないはずですよね。 もっと知的探求をする時間的な余裕が欲しい。 細胞のオートファジーの仕組みを明らかにしてノーベル生理学医学賞を受賞した大隅良典さんも『役立つ』という言葉が社会をダメにしていると語っています。」

・佐藤:「 北海道は 国土交通省北海道開発局、沖縄に関しては内閣府の沖縄担当という役所 が予算づくりを行います。 これは植民地 予算と同じで 北海道と沖縄は自分たちで予算を作る能力がないだろうから国が代行してあげているという発想です。だから北海道と沖縄は今まで自分たちで予算を作ることができていないんですよ。」

 

読み物としても楽しめる教科書。世界史だけれど、時々日本との関係性もでてくるし、最新の国際情勢もでてくるので、本当に楽しく読める。これで、税別2000円。ありがたい。

 

続きの第三巻も、いつか読んでみようと思う。

 

歴史というのは、「半減期が長い(旬で終わらない)」情報の一つだ。だから、今日明日の楽しみだけでなく、人生において長く楽しみにつながる情報なのだ。もちろん、新たな研究によって過去に正しいとされた歴史が覆されることもある、それもまた、楽しいではないか。

 

読書は、楽しい。

学ぶということほど、半減期の長い娯楽はない。