『古井戸に落ちたロバ』 インディアンのティーチングストーリー

古井戸に落ちたロバ
インディアンのティーチングストーリー
再話 北山耕平
絵と文 Oba
じゃこめてい出版
2011年2月7日 初版第1刷


友人が、Facebook にあげていて、なんだか気になった。なかなか悲しいお話らしい・・・。

図書館で借りてみた。大判の絵本。文字が少ない。イラストは、可愛い。大人なら、3分で読める。でも、読み終わって、え?って、もう一度読み直しちゃうかも。

インディアンのティーチングストーリーらしい。そして、中表紙をめくると、

ティーチングストーリーとは、生きることを、おしえるはなし。
とある。

生きる教訓、という感じだろうか。

ストーリーは、ちょっと、悲しい、、とういか、寂しい。

 

年寄りロバが、じいさまに連れられて荷物を運んでいる途中で、古井戸に落ちてしまう。使われていない、深い深い古井戸で、ロバが自分で這い上がることはおろか、じいさまもロバをひきあげることができない。

井戸のそこから、ロバの悲痛な泣き声が聞こえる。

じいさまは、ロバを助ける方法を考えるけれど、思いつかない。たすかっても、年寄りロバが働けるのはあと少しの時間しかないだろう。

じいさまは、涙を呑んで、古井戸をロバごと埋めてしまうことにした。このままにしておけば、子どもたちがおちてしまうかもしれない、と考えたのだ。

 

そして、村の人をよんで、ロバごと穴をうめはじめる。最初は、ロバの悲痛な泣き声がしていたが、次第に声はきこえなくなる・・・・。

古井戸を半分ほど埋めた時、じいさまは古井戸のなかを覗いてみる。すると、ロバは生きていた!!

 

古井戸の底に落ちたロバは、最初は痛くて、怖くて、助けをもとめてずっとずっと鳴いていた。鳴き疲れたころに、上で人の声がしたので安心していたら、突然うえから土が降ってきた。土が振りかかり、年寄りロバは鳴きわめきながら、暴れ続けた。やがて疲れ果てて、暴れることをやめた。。。その時、気が付いた。自分は、、、埋まっていない。体の上には
、ほとんど土は積もっていなかった。

 

それから、年寄りロバは、体をふるわせて降りかかる土を払い落しては、足で踏み固め始めた。何度も、何度も、何度も。。。

じいさまたちは、夜通し土を入れ続けた。

 

太陽が昇り始めるころ、年寄りロバは、ようやく古井戸からでることができた!!


そのまま、年寄りロバはゆっくりと歩きだし、一度も振り返ることはなかった。

おしまい。

 

これは、、、、どういうティーチングストーリーなのか・・・。

ロバを自分に置き換えるのだろう。絶体絶命のピンチ。それでもただもがいて、抵抗してみたら、気が付くと、、、、じいさまがロバを埋めるために古井戸に落とした土は、ロバの命を救う土となった・・・。


ピンチは、チャンス?

そして、古井戸から脱出したロバは、じいさまのもとを去っていった。。。。

本当の自由を手に入れたのか?

 

どんな状況であれ、好転できるチャンスがあるかもしれない。

 

「あきらめたら、そこで試合終了ですよ・・・。」って、安西先生(スラム・ダンク)の教えかと同じか。

 

ロバが、おじいさんのもとを去っていったのは、どういうことだろうか。もう、十分おじいさんのために働いたから、そんなお前を要らないと判断したおじいさんのもとは去ってもいいんだよって、教えなのだろうか。おじいさんを恨む必要もない。ただ、そこから去ればいい。そして、新しい世界にむかっていけばいい。

 

もう、自分の居場所がなくなった場所に、執着しないで、次の道を歩もう、ってことかな。

 

ロバにとっても、自分の人生は、自分しか決められない。

自分の人生は、自分で考えて、自分で決める、だね。

 

なかなか、難しい絵本だった。

どう読むかも、自分次第、かな。

絵本も、楽しい。